暗殺の時間 ページ6
「寺坂、吉田、村松。首謀者は君等だな」
先生の怒気に当てられ、寺坂は怯えながらも渚に責任を転嫁して言い訳しようとする。すると、先生は突如マッハで教室を飛び出し、マッハで何か─クラス全員の表札を抱えて戻ってきた。
「政府との契約ですから、先生は決して君達に危害は加えないが、次また今の方法で暗殺に来たら、君達以外には何をするか分かりませんよ。家族や友人……いや、君達以外を地球ごと消しますかねぇ」
この瞬間、皆が悟った。この先生からはどう足掻いても逃げられない、と。どうしても逃げたくば……こいつを殺すしか方法はない、とも。
皆が戦慄しているそんな中、寺坂が涙目で先生を迷惑だと大声で非難し始めた。
「迷惑な奴に迷惑な殺し方して何が悪いんだよォ‼」
「迷惑？ とんでもない。君達のアイディア自体はすごく良かった」
何かしらの反応はするかと思ったが、予想の斜め上を行って朱色の顔に○を浮かべて、先生はそう言った。そしてうねる触手を、私と渚の頭に撫でるように置く。
「特に渚君。君の肉迫までの自然な体運びは百点です。先生は見事に隙を突かれました。五条さんも、渚君の攻撃を受け止めた直後に先生を狙った、その判断力と行動力は素晴らしいです」
「「……！」」
異常ともとれる教室に普通に嬉しさを感じているも束の間、「ただし！」と今度は紫色の顔に×を浮かべて青筋を立てる。
「寺坂君は渚君と五条さんを、渚君は自分を大切にしなかった。そんな生徒に暗殺する資格はありません！」
「人に笑顔で胸を張れる暗殺をしましょう。君達全員、それが出来る有能な
人に笑顔で胸を張れる暗殺って何ぞや。
そうツッコミたい気持ちはもちろんあったが、そんな事は二の次で、今はただ暗殺は前向きに、積極的にやっていこうと思い始めていた。
「……さて、問題です渚君、五条さん。先生は殺される気はみじんもない。皆さんと3月までエンジョイしてから地球を爆破です。それが嫌なら、君達はどうしますか？」
だって、ここは先生を殺す教室。この先生ならば、殺意だろうが難なく真正面から受け止めてくれる。そんな気がしてならないのだから。
「……はっ、愚問だな」
「うん」
「「その前に、先生を殺します」」
「ならば今殺ってみなさい、殺せた者から今日は帰ってよし！」
……………………はいいいいいぃぃ？？
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作者名：水原 紫歩 | 作成日時：2019年7月8日 21時
