【A3!】オタク少女はシンデレラ【トリップ】

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結局万里くんは手を貸してくれず私1人で問題を解く羽目になった。解けたから良かったけど。
勉強に少し手こずって時間を無駄にしてしまった。

「なぁ、質問して良いか?」
「え、万里くんから質問してくれるなんて嬉しいです私に興味持ったんですか」
「うるせぇ。それだよ、それ」

私は何のことかさっぱり分からず聞き返してしまった。

「それ……?」
「俺に対して何で敬語なんだよ。学生だろ?年の差たいしてないと思うんだけど。というかお前年齢不詳……」
「私は万里くんと同い年です!!」

怪しい人物と思われないように年齢公開。
3年生で大学受験のお年頃だがA3!沼にどっぷり、という訳だった。運営さん限定ガチャとイベント多すぎるんだよ勉強出来ねぇじゃないかこの野郎。
とか言いつつイベントが来るとバンザイして泣くレベルに嬉しいから構わないのだが。

「同い年ならそれこそ何でタメ口利かねぇんだよ?」

うーん、と一瞬迷った。
言われてみればずっと敬語のまま話していた。

「理由は一つですね。万里くんが尊いからです」
「それ理由かよ」
「万里くんが尊すぎて、素敵過ぎてとても同い年とは思えませんしタメ口なんて利けません。恐れ多いです」

万里くんは困ったような顔をしていた。
真っ直ぐに伝えたから照れているだけなのか、それとも気持ち悪いと思われているだけなのか。どちらでも良かった。

「敬語で話されると変な感じすんだよな。お前みたいな奴なら尚更な」
「タメ口の方が良いですか?」

暫く慣れないとは思うが万里くんがそうが良いと言うなら努力したい。

「まぁ良いんじゃね、どっちでも。お前が頭おかしい事には変わりねぇから」
「わー万里くん酷いでもそんな所も好きです」
「そういう所だよ」

万里くんは悪戯っぽい笑みを浮かべ何処かへ行った。
私は万里くんの優しさをしみじみと感じていた。
少し変な感じがすると言っただけで嫌だとは言わなかったし、私の敬語のことも否定することは無かった。
私のことをきもいと言いつつ私のやることを否定していない。
何だか嬉しくて、私の寝床であるあの小さな部屋が幸せで満たせそうだった。

* * *

本当に訳わかんねぇ、あいつ。
けど、会ってから2日とは思えないほど仲良く、というか話せるようになっていた。

あいつの反応を見るのが面白くて、俺は明日また話すのを楽しみにしていることを認めざるを得なかった。

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