＊30 ページ30
Aが消えてから、3日が経っていた。あの日から全くAは俺に姿を見せなくなった。
折角想いが通じ合って、いい雰囲気になったと思ったのに。
”おい、待てよ!!”
”駄目、
……確かに会えなくなった。
今日もまた、分かりきった事実を胸に学校をサボってAを探しに行く。
何処を探しに行くにしても、俺は必ずあの公園を確認していた。もしかしたら、Aがベンチにケロッとした顔で座っているんじゃないか、そんな気がして。
しかしその考えは虚しく、誰もいない公園のベンチに腰かける。
どうしてもっと早くから素直になれなかったんだろう。そんな自己嫌悪で涙を零しそうになったときだった。
目の前が光った。あの日と同じ輝きだ。
思わず顔を上げて、その様子を食い入るように見た。光が収まる頃には、人の形が形成されていく。それは見覚えのある姿だった。
――目を瞑ったAが、光の中から現れる。
ずっと見たかった姿に、俺は吸い寄せられた。
ゆっくりと瞼を開くと、Aは優しく笑った。何かを言おうとしたみたいだが、俺はそれより先にAを強く抱いた。
そのまま、あの日できなかったキスをする。長い、長いキスだった。Aの息が苦しくなる前に唇を離し、更にもう1度軽くキスをした。
「ずっと、会いたかった。ふざけんじゃねぇよ、急にあんなこと言って居なくなるとか……」
俺は震える声で話した。Aに情けないと思われたかもしれないが、それでも良かった。
「ごめんなさい、全部、全部話すので……許して、ください」
俺がさっきまで座っていたベンチに今度は2人で座って、Aの口から紡がれる話を静かな空気の中で聞いた。1字1句聞き漏らさないように。
* * *
今までのことを全て話した。万里くんは唖然としている。
「というわけで、信じられないかもしれないけどそんな感じでした。迷惑かけてごめんなさい」
「もう離さねぇから」
万里くんは私の手に自分の指を絡めてぎゅっと握った。
さっきのキスもそうだけど、実は万里くんって甘えたがりだったりするのだうか。
そんな万里くんの頭を撫でた。深い意味は無かったが、何となく愛おしいと言うか、万里くんが可愛くてしょうがなかった。
「ほんと、お前って甘えるってことを知らねぇよな」
「昔から甘えるのって苦手だったんです。末っ子なのに」
―――
きり悪いんですけど文字数！！ごめんなさい！！！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 178人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めぇたそ*(プロフ) - とても素敵でおもしろい作品でした！万里推しじゃないのに心奪われました。他の作品作りも頑張ってください！因みに質問ですが、そのコンパクト、どこにあります？やっぱりアニメイドらへんにありますかね？() (2019年9月26日 17時) (
レス) id: 7e044f69cb (このIDを非表示/違反報告)
柚子(プロフ) - ゆにさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！楽しんでいただけたようでしたら何よりです(^^)他の作品もぜひよろしくお願いします！ (2018年5月26日 22時) (レス) id: 1681e727f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに(プロフ) - とても素敵な作品で、楽しく読ませていただきました！後半では思わず涙が溢れてしまいました(´；ω；｀) (2018年5月26日 0時) (レス) id: 6d746fddb3 (このIDを非表示/違反報告)
柚子は多忙で更新停止中(プロフ) - りるはさん» ありがとうございます！そう仰って頂けるととても嬉しいです。他の作品も是非よろしくお願いします。 (2017年12月27日 12時) (レス) id: 0f9b565f22 (このIDを非表示/違反報告)
りるは - 素敵な作品ありがとうございました！！とても面白かったです。 (2017年12月27日 11時) (レス) id: aa91e6f5aa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚子 | 作成日時：2017年5月18日 21時
