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「あら、Aどうしたの」
泣き顔の私を見るなり母は聞いた。

「あのね、お母さん。私もうここに戻ってこれないかもしれない」
「……どういう、意味?ちゃんと説明して」

もちろんそのつもりで今話している。
私は今までのことをすべて話した。コンパクトを見せながら。

「信じられない話ね……」
「いいよ、信じられなくても仕方ないもん」

少し間を置いた後、私は自分の意思をはっきりと告げる。

「お母さん、私はやっぱりもう1度万里くんに会いたい。もちろんこの世界が嫌とかそうじゃなくて……大好きな万里くんと複雑な関係のまま終わりたくない。お願い、もう1度あの世界へ行かせて」

お母さんはすごく迷っていた。当たり前だ。実の娘が別の世界へ行って帰ってこないと言っているのだから。

「……そんなの、はいそうですか、なんて言えないわ。万里くん?がどんな人かも知らないし」
「……」
「……でも、あなたの幸せがそこにあるなら、お母さんは応援するわ」

俯かせていた顔を上げた。

「お母さんっ……」
「絶対、幸せになりなさいよ」

私はお母さんに抱きついた。するとお母さんは近くの棚の引き出しから、小さな”何か”を取り出した。

「指輪、よ。お父さんとお母さんの。柊家はね、代々母親からこの指輪を受け継いでるの。万里くんとこれを付けて、素敵なドレスを着てね」
「うん、うんっ……」

私は頷くことしか出来なかった。

「お母さん、本当にありがとう。大好き」
「行ってらっしゃい」

トリップが事実と示すように、私はお母さんの目の前でトリップした。

……ありがとう、お母さん――待っててね、万里くん。

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めぇたそ*(プロフ) - とても素敵でおもしろい作品でした!万里推しじゃないのに心奪われました。他の作品作りも頑張ってください!因みに質問ですが、そのコンパクト、どこにあります?やっぱりアニメイドらへんにありますかね?() (2019年9月26日 17時) (レス) id: 7e044f69cb (このIDを非表示/違反報告)
柚子(プロフ) - ゆにさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!楽しんでいただけたようでしたら何よりです(^^)他の作品もぜひよろしくお願いします! (2018年5月26日 22時) (レス) id: 1681e727f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに(プロフ) - とても素敵な作品で、楽しく読ませていただきました!後半では思わず涙が溢れてしまいました(´;ω;`) (2018年5月26日 0時) (レス) id: 6d746fddb3 (このIDを非表示/違反報告)
柚子は多忙で更新停止中(プロフ) - りるはさん» ありがとうございます!そう仰って頂けるととても嬉しいです。他の作品も是非よろしくお願いします。 (2017年12月27日 12時) (レス) id: 0f9b565f22 (このIDを非表示/違反報告)
りるは - 素敵な作品ありがとうございました!!とても面白かったです。 (2017年12月27日 11時) (レス) id: aa91e6f5aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚子 | 作成日時:2017年5月18日 21時

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