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今、名前を、呼んでくれた。
それだけで嬉しくて嬉しくて、ずっと泣いていた。抱きしめられているのは恥ずかしくても別に良かったが、自分の涙で万里くんの服を濡らしてしまうと申し訳ないと思って必死に離れようとするも、万里くんの強い力で離してもらえることはなかった。

「1回しか、言わないからな」
「……はい」
万里くんは、一呼吸おいてゆっくりと”その言葉”を口にした。
「……好きだ。A」

一気に鼓動が早くなるのが分かった。バレてしまうだろうか。でも、それは万里くんも同じだ。
今自分が顔を埋めている万里くんの胸元からも、バクバクと大きな音が聞こえる。
それがとてつもなく幸せで、抱きしめる手の力を強くした。

「万里くん、好き、です。大好きです。本当に、言葉じゃ表せないくらい」
「分かった、分かったから……!!」
やっと身を離して万里くんの様子を窺うと、万里くんは顔を真っ赤にしている。
……すごく、可愛い。
「この後公園でも行くか。どうせ花火も終わりだし、その……2人で居たい、から」
唐突に恥ずかしくなってお互い赤面。
その恥ずかしさを紛らわすようにまた万里くんが動く。
「ほら、早くしろ、置いてくぞ〜」
「ま、待ってください!!」

想いが通じ合うことが、こんなに幸せだとは思わなかった。

* * *

公園のベンチに2人で座っている。ありそうな光景ではあるが、それも幸せだと思ってしまう。
実際、なんでこんなに好きだと感じていたのかも分からないぐらいだが、こいつ――Aの真っ直ぐさに惹かれてしまったのだろう。まさかストーカー気質のAに惹かれるとは思ってもいなかった。
そんなことをぼんやり考えているとAが隣で嬉しそうに笑った。
俺も思わず釣られて笑った。
いい雰囲気になったと思って、視線を話せずにいると突然Aがあー!!と叫んだ。鼓膜が破れるかと思った。冗談抜きで。

「どうし……」
「ちょっと待ってください」

Aは可愛らしいコンパクトを取り出しまじまじと見つめる。何を見ているのか。

「万里くん、ごめんなさい!!」

謝罪だけして駆け出した。
ちょっと待って。一体何があったと言うのだ。

「おい、待てよ!!」
「駄目、見られたら会えなくなる(・・・・・・・・・・・)からっ……!!」

その言葉の意味が分からなかった。
理解するより先に、Aが光りだした。

気付けば、Aは消えていた。

――今、何が起きたんだ……?

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めぇたそ*(プロフ) - とても素敵でおもしろい作品でした!万里推しじゃないのに心奪われました。他の作品作りも頑張ってください!因みに質問ですが、そのコンパクト、どこにあります?やっぱりアニメイドらへんにありますかね?() (2019年9月26日 17時) (レス) id: 7e044f69cb (このIDを非表示/違反報告)
柚子(プロフ) - ゆにさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!楽しんでいただけたようでしたら何よりです(^^)他の作品もぜひよろしくお願いします! (2018年5月26日 22時) (レス) id: 1681e727f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに(プロフ) - とても素敵な作品で、楽しく読ませていただきました!後半では思わず涙が溢れてしまいました(´;ω;`) (2018年5月26日 0時) (レス) id: 6d746fddb3 (このIDを非表示/違反報告)
柚子は多忙で更新停止中(プロフ) - りるはさん» ありがとうございます!そう仰って頂けるととても嬉しいです。他の作品も是非よろしくお願いします。 (2017年12月27日 12時) (レス) id: 0f9b565f22 (このIDを非表示/違反報告)
りるは - 素敵な作品ありがとうございました!!とても面白かったです。 (2017年12月27日 11時) (レス) id: aa91e6f5aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚子 | 作成日時:2017年5月18日 21時

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