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「うおぉぉえぇえ」
女子らしからぬ声を出してぶっ倒れているのは私こと柊A(華の女子高生)。
お化け屋敷いる幽霊のように床を這いつくばっている。
「あっつ……いけど、寒い……」
そう、柊A(華の女子高生)は熱があるのだ。
ただし無理矢理学校に行こうとして引き止められ、今は病院に行こうとしているのだがだるさにより倒れてしまったのである。
その状態で必死に腕を動かして前へ進もうとしているので軽くホラー映画の領域に達している。先ほどこの光景をみた母に叫ばれてしまったものだ。
なんとか病院に辿り着いた結果、風邪らしい。
風邪は風邪でも、”酷い風邪”とのことだ。
学校を休んでいるため相当暇だった。
別に学校に行きたいと言うわけでもないが、熱の時ってスマホの画面なんか見ていられないので正直辛いだけだ。
でも普段と違って昼間からA3!の世界へ行ける。そう思ったらなんだか乗り越えられそうな気がしていた。
――目眩がする中、トリップをするといつものあの眩い光さえ目が痛くなった。
そのぐらい体調が悪いのだろうが、こうやってトリップできるようになってしまった以上万里くんを1日1回生で見ないと気が済まない。
ふらふらとおぼつかない足取りで談話室へ向かうと万里くんの姿はなかった。
代わりに、今日は会社がお休みなのか干物モードの至さんが立っていた。
「A?こんな時間に珍しいね。」
「至さんこそ。会社はお休みだったんですか?」
「そんな所かな。Aも休み?」
「休みって言うか、休んでますから……」
至さんと会話するなり、意識が遠のいて行き気が付けば私はベッドに横たわっていた。
それも、だいぶ高い場所にある。天井が近い。
なんだか馴染んでいるようなそうでないような、いい香りがする。
頭同士が近付くように隣り合わせているこのベッドは、みんなの寮の部屋のベッドと同じ形式だ。一つでないということは、誰かと誰かの同室の片方の人のベッドを借りている、ということになる。
重たい体を起こすと頭に鋭い痛みが走った。
……頭痛も酷いな。
「起きたか」
何度か瞬きをして視界をはっきりさせると、万里くんが下から私の方を見ていた。
きっとこの隣は十座くんのものだと思う。確か、ゲーム内のスクリーンショットをした時こんな感じのが十座くんか、と思った覚えがある。
ってことは、このベッドって……!!
思わず私は枕に突っ伏した。
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めぇたそ*(プロフ) - とても素敵でおもしろい作品でした!万里推しじゃないのに心奪われました。他の作品作りも頑張ってください!因みに質問ですが、そのコンパクト、どこにあります?やっぱりアニメイドらへんにありますかね?() (2019年9月26日 17時) (レス) id: 7e044f69cb (このIDを非表示/違反報告)
柚子(プロフ) - ゆにさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!楽しんでいただけたようでしたら何よりです(^^)他の作品もぜひよろしくお願いします! (2018年5月26日 22時) (レス) id: 1681e727f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに(プロフ) - とても素敵な作品で、楽しく読ませていただきました!後半では思わず涙が溢れてしまいました(´;ω;`) (2018年5月26日 0時) (レス) id: 6d746fddb3 (このIDを非表示/違反報告)
柚子は多忙で更新停止中(プロフ) - りるはさん» ありがとうございます!そう仰って頂けるととても嬉しいです。他の作品も是非よろしくお願いします。 (2017年12月27日 12時) (レス) id: 0f9b565f22 (このIDを非表示/違反報告)
りるは - 素敵な作品ありがとうございました!!とても面白かったです。 (2017年12月27日 11時) (レス) id: aa91e6f5aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚子 | 作成日時:2017年5月18日 21時