第2話 お粥と優しさと惨めと ページ4
そして数分立つと
扉の隙間から懐かしい匂いが漂ってきた
そしてもう少し経つと
湯気の立つ小さな土鍋を持ったダイゴが戻ってきた
ダイゴ「お待たせ、食べやすいものがいいかと
思って…口に合えばいいんだけれど」
土鍋の中には卵の入ったホカホカのお粥
転生してから
ろくな食事をしてこなかったせいか
お粥がとても美味しそうに見える
転生前は美味しそうとか
食べたいとかあんまり思わなかったのにな
そう考えると前世は幸せだったのかもしれない
いや、幸せな方だったんだ
ダイゴ「熱いから気をつけてね」
『ありがとう…ございます』
小皿に分けて入れると手渡してくれた
ホカホカの湯気が近くで
ふわふわと揺らぎ肌に触れると柔らかく温かい
頂きますと一言言い、
スプーンで少量すくい取り
少し冷ましてから口へと運ぶ
『…』
口の中にじんわりとした温かさと
出汁だろうか？優しい旨味が広がっていく…
そしてふわっとする卵と
とろっとしたご飯…
…お粥ってこんなに味がするものなのか
ダイゴ「…口に合わないかな？」
『えっおいしいっです…！』
しまった
美味しいと感じていたのに
何も言わずに味わっていたせいで
嫌な方向に勘違いされてる…
そうだ、きちんと感想を言わないと
美味しい事を伝えないと…！
『…その…今まで薬ばっかりで…
あったかいご飯、食べてなかったから…
えっと…こんなに美味しいものなんだと思って…』
ダイゴ「…」
へへへっと軽く笑ってみるが
ダイゴの顔は険しい表情…
いや、違うな…なんだろう
何か言いたそうというか…
嬉しそうには見えなかった
どうしよう、もっと
語彙力のある…こう…リポーターのような…
駄目だ、国語の成績が
上がらん私には為す術がない…！！
あわあわと内心焦っていると
何故かダイゴは
優しく、ゆっくりと私の頭を撫でた
ダイゴ「…まだあるし、
足りなければ作るから好きなだけお食べ」
『…』
私を見つめるダイゴの瞳は
月明かりに照らされる海のように澄んでいて
表情も柔らかく、緩やかなものだった
包み込まれるような温かさを感じる
…
そうか
これは同情されているのか
…まぁ、そうだな
気味悪がられるよりは
同情される方が幾分マシ…かな
…私が逆の立場でも同情するよ
縛られていたのは何も食事だけじゃないんだし
…
本当に…惨めだな
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あるたおるた(プロフ) - ルカさん» 初めまして、コメントありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいです！更新頑張ります！ (2022年10月28日 0時) (
レス) id: 2a322f4b7e (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 良かったです^^続き楽しみに待ってます (2022年10月27日 15時) (レス) @page36 id: 3235728d3d (このIDを非表示/違反報告)
あるたおるた(プロフ) - ももこさん» 初めまして、コメントありがとうございます！お楽しみ頂けてとても嬉しいです！これからも楽しんでいただけるように更新していきますのでこれからもよろしくお願いいたします。 (2022年10月22日 22時) (レス) id: 2a322f4b7e (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 凄く面白いです！ (2022年10月22日 13時) (レス) @page26 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
あるたおるた(プロフ) - チョコ＆ピーナッツさん» ポケモンは意外とダークな一面もありますかね…ポケモン同士を人工的に合体させたり作ったりするくらいなら、やはり人体実験もありそうだなと思ってしまいました。色々汲み取って頂けて嬉しいです！こちらこそ、ありがとうございます！ (2022年10月21日 0時) (レス) id: 2a322f4b7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あるたおるた | 作成日時：2022年10月11日 23時
