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剣持くん、好きだよ。
心の中で呟いた私の本音が口から溢れる。
「え、...」
涙を拭いてた手を止めて、固まる剣持くん。
次第に顔が赤くなっていくのが面白くて、少し意地悪したくなった。
「好き、剣持くんが好き」
「っ、僕も、好きです...っ!」
必死なその様子が堪らなく愛しく感じて、気付いたら剣持くんに抱きついていた。
鍛えられたしっかりとした体に、ふんわり香る剣持くんの匂い。
ぎゅうっと胸が締め付けられる反面、心臓が激しく動いていて、きっと剣持くんにも伝わってるんだろうな...。
私の心臓の音に共鳴するように、剣持くんからも激しい心臓の鼓動が伝わってくる。
そろりと、背中に回された手のひらの温度と、右耳にかかる吐息にゆっくりと目を瞑った。
ゆっくりと、名残惜しそうに体を離す。
ぱっと剣持くんと目が合う。にこりと笑って見せれば剣持くんは顔を伏せてしまった。
不思議に思って覗こうとすれば「だめです」と腕で顔を隠してしまう。
「今になって、Aさんがべりーちゃんだって事実に襲われていて....え、推しが、いる...?」
その言葉に一瞬ポカンと呆気にとられるが、意味を理解してふふっと笑ってしまう。
「剣持くん...じゃなくて、toyaさんって呼ぼうか?」
「!?スパチャしてないのに名前呼ばないで下さい!!恐れ多い!!」
「え〜?じゃあ、クラスメイトとして刀也くんって呼ぶのはいい?」
「そ...れは、いいか...?いや、やっぱりだめです!」
頑なに名前呼びを拒否されてしまい「なんで?」と抗議する。
腕を下げて、ちらりとこちらを見る剣持くんは頬を染めながら小さい声で呟く。
「クラスメイトしてじゃなくて、彼氏として...呼んで欲しいんですけど...」
その言葉に今度はこちらが頬を染める番だった。
そこから剣持くんはいつもの調子を取り戻し始めて、少し余裕そうな顔で迫ってくる。
「僕は、Aさん…Aさんもべりーちゃんも好きです。1年のころから気になってたし、初配信の頃から大好きなんです。でも、付き合いたいって思うのはAAさんなんです。僕をリスナーのtoyaじゃなくて、剣持刀也として貴女の傍にいさせて下さい」
止まったはずの涙が頬を伝っていく。
差し出された手に、そっと自分の手を乗せる。
優しく握られた手と
幸せそうに微笑む彼に
また、静かに涙を流した
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おすし(プロフ) - ココアさん» ココア様、ありがとうございます✨また次回作や番外編でお会い出来ますように…♡ (2022年7月25日 10時) (レス) id: f18e2ac31d (このIDを非表示/違反報告)
ココア - 完結おめでとうございます!!お疲れ様でした! (2022年7月24日 23時) (レス) @page41 id: 23123a7f78 (このIDを非表示/違反報告)
おすし(プロフ) - 後藤絵里さん» (はっ…!ありがとうございます!!)(ひっそりと修正しました!ありがとうございます!!) (2022年7月24日 18時) (レス) id: f18e2ac31d (このIDを非表示/違反報告)
おすし(プロフ) - アクシエイドさん» アクシエイド様、素敵なコメントありがとうございます!無事に完結出来て安心しております。また機会がありましたら、お会い出来ますように…♡ (2022年7月24日 18時) (レス) id: f18e2ac31d (このIDを非表示/違反報告)
後藤絵里(プロフ) - (最後の方の、「一緒にいれますように」が「一緒に入れますように」になってますよー…(^-^)/) (2022年7月24日 18時) (レス) @page41 id: 1a5db0f276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おすし | 作成日時:2022年7月3日 23時