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むらさきいろのきおく。3 ページ27

にぱっと嬉しそうに笑って、やっと食べはじめたA。

それを見ながら、昔の僕とAはなんでもないいろんな話をしていた。
おそ松兄さんたちの話とか、イヤミとチビ太の話とか、学校であったことの話とか。


そしてAの表情も明るくなって、もうそろそろいいかなと思ったところで、単刀直入に聞いた。






『ねぇ。A』

『なにー?』

『何があったの?』

『!!』






Aはビクッと体を強張らせて、さっきまでの笑顔を消してきゅっと口を結んだ。

単刀直入すぎたかと少し反省したけど、でももうどうしようもないからそのまま続ける。




『さっきのことは全然怒ってない。でも、心配なんだ。Aが最近元気ないのも、それが理由だろ?』

『…………』

『別にむりに聞こうなんて思ってないよ。けど辛いなら話してほしいし、僕はAの力になりたい』

『……』





僕は昔から慰めるのとか、相談にのるのとかが苦手で。

このときだってすごく緊張してたし、こういうのであってるのか?って内心すごくヒヤヒヤしてた。




……でも、きっとそういうのが駄目だったんだろうね。





『……うん、ありがとう』






僕じゃ、Aを助けることはできなかった。







『でもねにいちゃん、ぼくなんでもないよ』

『え、』

『元気がなかったのはね、きっと友達とけんかしちゃったせい!』




それも、昨日仲直りできたし!
にこにこと笑ってそう言うAは、昔の僕が何か言おうとするとそれを遮った。




『……でも、』

『それに!……こんなにやさしいにいちゃんが六人もいるのに、辛いことなんてあるもんか!』

『!!』





今の僕だったら、あきらかに怪しい、何か隠してるって気づけたかもしれない。

でも、昔の僕はこの言葉を馬鹿正直に受け取ってしまった。





『……ほんと?』

『もちろん!』

『無理してない?』

『だいじょーぶ!』

『……そっか、良かった』





なにも良くない。むしろ最悪だ。
良かったなんて言ったらこの優しい弟は、あぁ言わなくて正解だったんだってますます何も言わなくなる。

ああ昔の僕を殴って東京湾に沈めたい……。






『っあ!!にいちゃん見てこれ!』

『ん?』

『ほらこれ!当たり!!』

『おー!良かったなA!』



キラキラした目でアイスの当たり棒を見せて喜ぶA。
その姿に、「今日はもうお腹壊すから買えないよ」と言おうとした、そのとき。

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設定タグ:おそ松さん , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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紫垣(プロフ) - 続きが欲しすぎる (4月19日 19時) (レス) @page41 id: f62f374630 (このIDを非表示/違反報告)
はまち(プロフ) - ヤバい目から水銀出てもうた。゚(‪‪‪っ৹ т )゚。 (2022年10月25日 23時) (レス) @page41 id: 060e95838b (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - しばらく更新されていないので心配です…。夢主くん…助かって、お兄ちゃん達と仲良くしてほしい…。(๑o̴̶̷᷄-o̴̶̷̥᷅ ) (2022年3月19日 19時) (レス) id: 5f15beaff6 (このIDを非表示/違反報告)
折り紙(プロフ) - 目から水素水がァ…。更新頑張って下さいィ…。 (2018年8月4日 3時) (レス) id: 0b0984a937 (このIDを非表示/違反報告)
かすてら(プロフ) - この小説とても好きです!続き待ってます(*´-`) (2018年7月18日 16時) (レス) id: f0c376a462 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:●龍● | 作成日時:2017年1月10日 16時

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