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むらさきいろのきおく。 ページ25

一松side







『にんじんとー、じゃがいもとー、たまねぎとー……』

『肉』

『あ、そうだった!』



「…………嘘だろ?」





あまりの眩しさに目をつぶって耐えていた僕は、もういいだろうとゆっくり目を開けた。

するとなぜかそこに見えたのは、昔家の近くにあった今はもう潰れてしまった商店。
そして小学五年生くらいの僕と、三年生くらいのAだった。



……なんだこれ、悪夢か。

試しにほっぺたをつねってみたけど、普通に痛かった。
うわつねり損じゃん、とか思えるぐらいには、僕は以外と冷静でいるみたいだ。
いや、嘘です。現実逃避ですはい。





『ねー、一松にいちゃん!アイス食べたい!』

『むりだよ。もうお金使い切っちゃったし』

『えー』




僕が現実逃避している間に、買い物は終わっていた。
どうやら昔の僕たちはおつかいで来ていたらしい。

てか懐かしいな、一松にいちゃんって呼び方。
今まではいちにぃって呼んでたのに急に変わったんだよね。
だから一番その呼び方を気に入ってたトド松が、「なんでなんで!?」ってAに詰め寄ってた。
僕は、もうそのくらいの年になったら恥ずかしいよなって納得してたけど。






『今日はがまんしよ。ほら、そっちの荷物持ってあげるから』

『…………いい。これくらい自分で持てる』



「あ、そうだ」






Aがむすっとした顔で言ったとき、思い出した。


そういえばこのころくらいからだった。
Aが弟扱いを極端に嫌いだしたのは。






『そう。えらいな』




でもそのころの僕が知るはずもなく。




『っ!!』


「あー……」





パシッ!

昔の僕がAの頭を撫でようとした瞬間、その手はAの手によって払われていた。
もちろんその理由を知らない昔の僕は怒る。





『っなにすんだよ!』

『おとうと扱いしないでよ』

『……え?』

『アイスぐらいがまんできるよ。こんな軽い袋持てるに決まってる。ぼくをなんだと思ってるの。何才だと思ってるの。
にいちゃんたちはいつだってそうだ。ぼくだけへんにとくべつ扱いしてっ……!!あ』




そこまで言ってハッとしたAは、慌てて口を抑えた。
でももうほとんど言っちゃったあとだって気づいて、顔を真っ青にする。手もぷるぷる震えてた。

その姿を見た昔の僕は、あ、ヤバイと何かを察知してAに向けて手を伸ばす。




けどその前に、Aはぽろぽろと静かに涙を流していた。

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設定タグ:おそ松さん , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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紫垣(プロフ) - 続きが欲しすぎる (4月19日 19時) (レス) @page41 id: f62f374630 (このIDを非表示/違反報告)
はまち(プロフ) - ヤバい目から水銀出てもうた。゚(‪‪‪っ৹ т )゚。 (2022年10月25日 23時) (レス) @page41 id: 060e95838b (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - しばらく更新されていないので心配です…。夢主くん…助かって、お兄ちゃん達と仲良くしてほしい…。(๑o̴̶̷᷄-o̴̶̷̥᷅ ) (2022年3月19日 19時) (レス) id: 5f15beaff6 (このIDを非表示/違反報告)
折り紙(プロフ) - 目から水素水がァ…。更新頑張って下さいィ…。 (2018年8月4日 3時) (レス) id: 0b0984a937 (このIDを非表示/違反報告)
かすてら(プロフ) - この小説とても好きです!続き待ってます(*´-`) (2018年7月18日 16時) (レス) id: f0c376a462 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:●龍● | 作成日時:2017年1月10日 16時

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