【文スト】ポート・マフィアの中島君【男主】

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そんな事が有る物かと、目を疑った

弐年前に孤児院を脱走して、其の儘野垂れ死んだとされていた、僕の双子の弟が


「俺は紹介しなくても良いよねぇ、お久しぶり。愚兄。アンタの弟のAですよー」


目の前に、かの有名なポートマフィアに居るだなんて

信じられなかったけれど

僕とは対照的な艶がかった黒い髪がサラリと揺れて

弟はニッコリと笑っていた

其の笑顔は弐年前と何ら変わりがなくて

あぁ、僕の弟なんだと再確認する

でも

一瞬、Aに意識を向けた瞬間で


　ﾄﾞｯ


足ものとのコンクリートがごっそりと抉れた


「っ？！？」
「何を呆けている。僕の話、聞いてなかった訳では有るまいに」


黒い外套がゆらりと、まるで蛇の様に鎌首を擡げて

其の持ち主は、ゴホゴホと咳をしている

―――芥川

ポートマフィアの中でも特に危険視されている人物で

探偵社でも手に負えない、らしい


「僕の『羅生門』は悪食。凡ゆるものを喰らう。―――抵抗するならば、次は脚だ」


馬鹿みたいな威力の異能に、足が震えて、立っているのもやっと

どうして、どうして僕なんかが

その時、Aがクスっと笑って、僕の後方を指さした


「凄いねぇ、大した生命力だ。未だ生きて居るとは」
「っ？！」


バッと振り返れば、谷崎さんもナオミさんもまだ、息がある

此処で国木田さんの言葉がフラッシュバックした


―――貴様も今日から探偵社が一隅。紗の看板を、汚す真似はするな


どうしてAがマフィアに居るのか

どうして僕が狙われるのか

そんな事は後回しだ

今は


「うわぁああああぁぁぁあぁああ！！！」


駆け出す

イチかバチかの賭けだけれど

何もしないよりはマシだ

視界に映った弟が、微かに笑った気がした









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