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8話 ページ9

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―――――――――――――……。


「十四松兄さん、いい加減降りてきなって。てかどうやってそこ登ったの!?」


驚愕の表情を浮かべるトド松にそう言われ、おれは素早く地面に着地。


「何急にAちゃんなんて誘ってんの?」

「だめなの?」


少しばかり首をかしげトド松に尋ねれば


「だって、突然過ぎでしょ。しかもあいつ、トト子ちゃんに嫌がらせしてんだよ?そんなやつと野球なんて、どうなの?」

「……」


嫌がらせ、の言葉に引っかかる。トト子ちゃん、Aちゃんに嫌がらせされてるなんて、言ってたっけ?


「もう、わかってないなー。あいつ、トト子ちゃんの姉なのに全然トト子ちゃんを大事にしてるように見えないじゃん。この前だってアイドル発表来てくれなかったし」

「え、トッティどうしておれの考えてることわかったの!?すっげー!!!」

「何年六つ子やってると思ってんの?」



得意げな顔。おれは、聞いてみた。


「トッティ、昔のこと、覚えてる?」

「何、急に。昔のことって、どれくらい?」

「んー、おれたちが子供だったとき!!」



自分もAちゃんと遊んでいた記憶を思い返してみる。あの頃はまだしっかり無邪気に笑っていた、彼女の笑顔を。


「子供って……、全部は無理だけど」


考えるそぶりを見せつつもトド松は答える。


「じゃ、おれらが昔遊んでたのは?」

「は?そんなの、トト子ちゃんでしょ?」

「それもそうだけど、Aちゃんは?」

「十四松兄さん、ほんとどうしたの?ぼくたちはトト子ちゃんとしか遊んでないでしょ?Aちゃんなんて、全然遊んでくれなかったじゃん」

「……」



どうして、Aちゃんとの記憶が抜け落ちてるんだろうか。


「ちが、」


"違うよ。"


そう言おうとして、思いとどまる。そしてさっきのAちゃんを思い出してみる。


……昔のことを言おうとすると、何故か嫌がった。だから、おれは



「なに、十四松兄さん」

「うん、そうだった。おれたちと遊んでくれたのは、トト子ちゃんだったね!!」



君を悲しませるようなことは、しないよ。




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この前のあいつ(プロフ) - おみかんさん» 全部見てくださったのですか!嬉しいです!応援ありがとうございます! (2016年3月24日 10時) (レス) id: d7f15c5c72 (このIDを非表示/違反報告)
おみかん(プロフ) - こんにちは!作風すごく好きです。小説3つすべて拝見しました。とても素敵でどれも続きが楽しみです。応援してます。 (2016年3月22日 5時) (レス) id: 9b40e47e5e (このIDを非表示/違反報告)
この前のあいつ(プロフ) - 魔女?さん» わかりにくくてごめんなさい。主人公は栗毛の子なんです。プロローグは、妹のトト子ちゃんの方を先に書いたんです。本当に混乱させてしまってすみません。 (2016年3月9日 11時) (レス) id: 5a53ac0796 (このIDを非表示/違反報告)
魔女? - 私が違ったら、すみません。 (2016年3月9日 11時) (レス) id: f29a288e89 (このIDを非表示/違反報告)
魔女? - 主人公ちゃんは、黒髪ロングだったと思うんですが……? (2016年3月9日 11時) (レス) id: f29a288e89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:この前のあいつ | 作成日時:2016年1月23日 21時

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