4話 ページ5
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ああ、折角鉢合わせしないように家を出たのに。
お互い黙ったまま、数秒間動かないでいたが
「帰れよ、お前」
長男、おそ松から鋭い声が発せられる。言われなくとも。そう思い立ち上がって
「それじゃあ、おじゃましました。お勘定です」
私は言われた通り、六つ子たちとは目を合わせずに、その場を去ろうとする。
「また来いよ」
「機会があれば」
チビ太は未だ悲しそうな表情で私にそう告げた。
暖簾を潜り、外へ。するとチョロ松、トド松が私の目の前に立ちはだかる。
「どうして、トト子ちゃんのお願い聞いてあげなかったの」
二人は鋭い視線を私に向ける。
「さて、何のことでしょう」
とぼけながらも首をかしげれば
「わかってるくせに。今日トト子ちゃんに頼まれたでしょ、報告聞いてって」
いつもの人当たりの良さそうなチョロ松の表情ではなく、憎しみの込められたような、そんな顔。
「トト子ちゃんに冷たくすんのやめたら?出来損な、」
「おいトド松」
私が何も言わずに黙ってトド松の言葉を聞いていれば、おそ松が割って入ってきて
「大根いる?」
その言葉を聞いた二人は屋台の方に文句を言いに戻る。わあわあと騒ぐ連中を残し、私は真っ暗な空の下、帰路につく。
でも、よかった。
――トト子はまだ、愛されてる。
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この前のあいつ(プロフ) - おみかんさん» 全部見てくださったのですか!嬉しいです!応援ありがとうございます! (2016年3月24日 10時) (レス) id: d7f15c5c72 (このIDを非表示/違反報告)
おみかん(プロフ) - こんにちは!作風すごく好きです。小説3つすべて拝見しました。とても素敵でどれも続きが楽しみです。応援してます。 (2016年3月22日 5時) (レス) id: 9b40e47e5e (このIDを非表示/違反報告)
この前のあいつ(プロフ) - 魔女?さん» わかりにくくてごめんなさい。主人公は栗毛の子なんです。プロローグは、妹のトト子ちゃんの方を先に書いたんです。本当に混乱させてしまってすみません。 (2016年3月9日 11時) (レス) id: 5a53ac0796 (このIDを非表示/違反報告)
魔女? - 私が違ったら、すみません。 (2016年3月9日 11時) (レス) id: f29a288e89 (このIDを非表示/違反報告)
魔女? - 主人公ちゃんは、黒髪ロングだったと思うんですが……? (2016年3月9日 11時) (レス) id: f29a288e89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:この前のあいつ | 作成日時:2016年1月23日 21時