29話 ページ30
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また食いに来いよ、その言葉に微笑んでありがとう、と漏らすAは、俺の言葉に頷きはしなかった。
白で統一されている殺風景な部屋の中、何故だか目の前の彼女は消えてしまうのではないか、そんな考えがふと脳裏をよぎる。
「……って、なんで今日は敬語なんだよ」
「家の中にいるからです」
「ったく。なんだか気持ちわりーな」
本心を口にすればムッとした表情を作り上げたA。
俺は思い出したようにトド松に会ったかと聞いてみた。
この前、俺の店に来ておそ松がトド松に説教をしてた。謝ってこいと。
俺の言葉を聞いたAは一瞬表情を強ばらせたものの、すぐに元の表情になり、
「会うわけないじゃないですか。だって、彼は私のことを嫌ってるんですよ?」
「え、でもトド松はお前に会いに行くって……」
「どうせ、その場凌ぎの適当な言葉でしょう。私としては会わない方が好都合ですかね」
淡々と言葉をつむぐ彼女だが、やはり何かあったらしい。あの馬鹿な六つ子たちも、Aも。なんだか様子が変だ。
俺達は少しだけ他愛のない話で盛り上がった後、Aの部屋をあとにした。
Aがこれから取り掛かろうとしていた計画など知らずに、俺はいつものようにおでんの仕込みを始めた。
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この前のあいつ(プロフ) - おみかんさん» 全部見てくださったのですか!嬉しいです!応援ありがとうございます! (2016年3月24日 10時) (レス) id: d7f15c5c72 (このIDを非表示/違反報告)
おみかん(プロフ) - こんにちは!作風すごく好きです。小説3つすべて拝見しました。とても素敵でどれも続きが楽しみです。応援してます。 (2016年3月22日 5時) (レス) id: 9b40e47e5e (このIDを非表示/違反報告)
この前のあいつ(プロフ) - 魔女?さん» わかりにくくてごめんなさい。主人公は栗毛の子なんです。プロローグは、妹のトト子ちゃんの方を先に書いたんです。本当に混乱させてしまってすみません。 (2016年3月9日 11時) (レス) id: 5a53ac0796 (このIDを非表示/違反報告)
魔女? - 私が違ったら、すみません。 (2016年3月9日 11時) (レス) id: f29a288e89 (このIDを非表示/違反報告)
魔女? - 主人公ちゃんは、黒髪ロングだったと思うんですが……? (2016年3月9日 11時) (レス) id: f29a288e89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:この前のあいつ | 作成日時:2016年1月23日 21時