第四十七話 ページ2
(side.S)
櫻「ニノっ·····ニノ！！」
何度呼び掛けても、彼は身動き一つせず
今まで感じたことの無いその独特な雰囲気に
段々と呼び掛ける気力も無くなってきた。
俺は、今まで何をしてきたんだ。
仲間一人ですら、救えない。
こんな時、智くんがいてくれたら·····
そんな考えが、ふと頭を過ぎる。
ああ、俺は結局智くんがいなきゃなんにも出来ないんだな·····
智くんが隣にいないのが、こんなにも心細いなんて。
会いたい。
早くっ·····いつもみたいに、助けに来てっ·····
グ「まーた彼のこと考えてるの？無駄だって。このアジトに辿り着けるわけがない」
カグラの嫌味を無視し、智くんと連絡が取れないか何度も言葉を発信するが、彼からの返事は無い。
ナ「諦めろ。お前はもう我々からは逃げられない」
威圧感のある低いその声が、俺の体をより一層重くした。
ほんとに、もうだめなのか·····？
俺は、このまま、こいつらの言いなりになって
この世界を、めちゃくちゃにしてしまうのか·····？
櫻「·····ならないっ」
ナ「なに？」
櫻「おれはっ·····お前らの言いなりになんか·····絶対に、ならないっ！」
僅かに残っている体力を振り絞り、ナギの目を正面から睨み付けた。
それでも、変わらず余裕の笑みを見せるナギと
あははっと愉快に笑うカグラ。
ナ「まあ、いいさ。いずれ嫌でも我々に力を貸すことになる。まだ準備に時間はかかるがな。カグラ、もう下がってもいいぞ。また用があれば声を掛ける」
グ「御意」
カグラはナギに一礼すると、俺の首輪に取り付けられた鎖を軽く引っ張った。
反抗したくても今の俺に為す術はなく、ボロボロの体を無理矢理起こす。
櫻「ニノ·····」
そう呼び掛けても、相変わらずニノは無表情のまま
ナギの隣に並んだ。
無力な自分に再び涙が溢れそうで、早足で部屋を出る。
グ「これから、ニノくんが君のお世話をしてくれるからさ。嬉しいでしょ？」
カグラのその言葉を遠くに聞きながら、心も体も憔悴しきった俺は
牢獄の中で、静かに目を閉じた。
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れな(プロフ) - この作品が大好きですのでいつかまた話の続きが見られる日をお待ちしてます。 (2020年4月21日 16時) (
レス) id: e5a85e3091 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - はじまして。楽しみに更新待ってます。 (2020年1月4日 18時) (レス) id: 8b6e64cb6f (このIDを非表示/違反報告)
迷いネコ - あー懐かしくって泣きそうです(´；ω；｀)おかえりなさいです！またちょっとずつ作品を追わせて頂きます！！ (2019年5月18日 10時) (レス) id: 31e82aa209 (このIDを非表示/違反報告)
ふなっしょー(プロフ) - スイミーさんの作品はどれも大好きでいつも読ませていただいています。特にこのシリーズは毎回更新が楽しみでした！お忙しい中、またお話の続きを書いてくださりありがとうございます。これからもスイミーさんのお話を楽しみにしています！ (2019年5月12日 22時) (レス) id: 8aaa700fce (このIDを非表示/違反報告)
スイミー - 翔らんさん» 翔らんさん初めまして！そう言って頂けてとても嬉しいです！！少しずつですがまた頑張ります！引き続きお願いします！ (2019年5月12日 16時) (レス) id: 1ddc205a07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スイミー | 作成日時：2019年5月9日 21時
