＊ ページ29
「来ちゃ悪い？」
「悪くない。つうかもう何年だよ、ほんとお前すごいね」
「すごいってどういう意味よ。‥‥大切だったの、大好きだったの、簡単に忘れられるわけないじゃん」
「そうだな、ごめん」
素直な謝罪にそちらを向けば、太陽が反射する水面に顔をしかめた、濃ゆいイケメンが立っている。
雅紀の友達の潤。小さい頃は本当に可愛らしい男の子だったのに、育っていく過程で可愛さを残しつつも濃さが際立って22歳になった今は道行く誰もが振り返るイケメンになってしまった。
「あの子だけなんだよ、私にあんなに懐いてくれて‥‥」
「そうだな。いっつもお前の後ついて歩いてたよな、あいつ‥‥」
「あの日だって来ちゃだめだよって言ったのに抜け出して海に来て‥‥」
言いながら思い出してしまう。
最後の姿も、断末魔の悲鳴も、目と耳に焼き付いてしまって。
黙り込んだ私と潤は並んで海を見つめている。
隣で何を考えているかは分からないけれど、きっと同じように思い出してくれてるんだと思う。
私の大好きだった、あの子のことを――
「ジョセフィーヌ‥‥ほんっと可愛い子だったのに」
「アイツ良い鶏だったよなぁ、賢かったし」
私の呟きに、潤が頷く。
おばあちゃんちは鶏を飼っていて、たまに孵卵器で孵したりする。
その一匹が、私にめちゃくちゃ懐いていた。どこへ行くにも何をするにも一緒だったジョセフィーヌは、10年前の夏、私を追いかけて道路に出て車に驚いて自分で飛び立ってそのまま海に落ちてしまったのだ。
「刷り込みで私のこと親だと思って、来るたびに一緒に寝たりとかさぁ‥‥ううっ、可愛かったよジョセフ‥‥」
「正式名称なんだっけ」
「ジョセフィーヌ・シルヴェスタ・イバノフ三世」
「マジどうかしてるよな、雅紀んちのじいちゃん。あ、Aと和のじいちゃんでもあるのか」
「おじいちゃんちょっと海外かぶれだからね」
「そう言うレベルか？」
潤のツッコミに確かにと笑ってしまう。
おじいちゃんの名づけがぶっ飛んでいるから、反動なのか反面教師なのか、お父さんはめちゃくちゃ普通の名前を付ける。
「ジョセフィーヌのお父さん鶏、二郎だからね」
「ほんとお前の親父さんもさぁ」
「ジョセフィーヌのお爺ちゃん鶏がイバノフ一世で、その息子が二郎で、ジョセフィーヌは三世なのよ」
「家系図わけわかんないことになってるな」
「ちなみに今居るのは14世だよ」
「雅紀の原付に乗ってる奴？」
「そうそう」
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» そうなんです(笑)マチ子事件簿の裏にはこんなことがあったかも知れないんです(笑)マチ子ちゃんにMJ呼びさせるの超楽しいです☺☺☺ (2022年4月27日 9時) (
レス) @page27 id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - な、なんと！！あのお話の裏にはこんなことがあるなんて…🤣🤭🫣最高です💜 (2022年4月27日 6時) (レス) @page27 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ラムさん» ラムさんへ、午後の仕事の活力になってるなら良かったです！！相変わらずの安心安全お塩製なので大丈夫です(笑)バレンタインか？みたいになりますけどww (2022年2月14日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさんへ、お潤くんにならストーキングされてもなんのそのですね！今度本気でやばい方の書いてみようかなとか(笑) (2022年2月14日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - いくさん» いくさんへ。わぁぁそんな楽しんでいただけるなんて嬉しいですありがとうございます！！基本やっぱりハッピーエンドがイイですよね、まだまだここ増やしていきますのでこれからもぜひお付き合いください！ (2022年2月14日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年11月2日 0時
