どうしようかと思うけど ページ32
なんて返そうかなと考えて、『まだちょっと仕事の進行上確約できないから、また連絡するよ』と当たり障りないことを書く。本当は仕事の進行上の都合など存在しない。
ちょっと話を逸らせないかなとAは思ったのだが、所詮はその場しのぎである。
Jun.Mいつ頃予定わかる?
「えっ、そう来たか」
確かに仕事の都合を出されれば近いうちに答えが出ることと判断するのは妥当だ。
失敗したーと髪の毛を乱して、Aは画面を見つめる。
A今日か、明日には解るんじゃないかな
結果、結局ひよってしまった自分にがっかりする。
そんなAの心知らずの松本が、間髪入れずに通知を鳴らす。
Jun.M分かり次第連絡してよ
Aりょーかい
それだけ返して、Aは支度を始める。
時刻は朝の七時。かなり早い時間の連絡だが、不規則な生活が当たり前の松本の事だからたまたま今が一番連絡しやすい時間帯だったのだろうと推測する。
この間松本にパスタをご馳走になって以来、Aはなんとなく自炊回数を増やしている。
今朝はいつもの納豆ご飯以外にもおかずを用意した。インスタントの味噌汁と、適当にレタスときゅうりとトマトで作ったサラダ。
「松本さんの方が生活力は高そうだなぁ」
呟いて、一人の食卓を囲む。あの日からやけに静かで、もともと一人で住むには十二分に広すぎる部屋が、更に広々と感じられてしまう。
その理由は解っているが、だからと言って自ら「遊びに来て」とは相手が相手なだけに天地がひっくり返っても言えそうにない。
あんな宿題まで残されて、更に声を掛けづらいのが本音だ。
(さん付け禁止って参ったなぁ、松本、とでも呼べと？)
次に会う時、さん付けをしたらペナルティだと言っていた。一方的な約束だが松本はきっとその気だろう。長く無い付き合いだが、なんとなくそんな気がするのだ。
(‥‥かといって名前呼びは)
そこまで考えて、思い出されるのは三年前の苦い記憶。
早く忘れたいのに、中々忘れることができない。
ピコン、と通知。
Jun.M絶対だかんな! 忘れんなよ!
捨て台詞のような言い回しをしてまでそんなに念を押さなくてもと思うが、前科のあるAは言い返せない。
思わず笑ってしまって、朝からほっこりした。
返事は『ちょっとかわいいね』に留めておいたが。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 176人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん、一気読み疲れないですか？今後どんどん長くなる上に、どんどん何なのこの人たちってなるので(笑)ありがとうございますー！ (2021年10月3日 19時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 小出しもいいけど、一気に読めると尚嬉しいから 一気に出しても大丈夫ですよ~♪ (2021年10月3日 13時) (レス) @page29 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月29日 1時
