まだ待ってんの？ ページ4
その思いが表情に出ていたのだろう。目の前で彼女が不思議そうにしたのに気づいた。
なんとか取り繕ったけれど、このままお礼という名目でランチして、それでもう終わってしまうと思われていることがなぜか悔しくて。
出会ったばかりの一般人相手に何やってんだと思いながらも、止まらなかった。
どうせもう連絡先を書いたメモは彼女の手にある紙袋の中で、賽は投げられている。
そして、ようやく目にした彼女のフルネーム。
その時まで本気で名前を聞くことを失念していたのも意味が解らない。思いのほかかっちりした字を書くんだな、なんて。統一感のあるすっきりした名前が彼女らしいと感じた。
今更名前を知った事実に二人して笑ってしまった時の心地よさが松本は忘れられない。
忘れられないから、こうして、馬鹿みたいに連絡を待っている。
「‥なにやってんだろうなぁ、俺」
はぁ、とため息。
うんともすんとも言わないスマホを控室のテーブルに投げ出して、松本はそのまま両腕に顔を埋める。
そんな彼の背中に掛かるのんきな声。
「潤くんは一人百面相をしているとは思うけど」
「うるせぇ‥」
「キャー怖い。なんなのなんなの、なに怒ってるのよ」
茶化してきた二宮をひと睨み。スマホを横に置くところを見ると、彼がハマりにハマっているパズドラがひと段落したのだろう。
彼にはこの一連の件で世話になっているから、つい松本の弱音も零れる。
「‥‥連絡来ねぇんだよ」
「えっもしかしてまだ待ってんの」
意外〜。
まるで女子高生のような反応を返されて、松本は心外だとばかりに眉を寄せた。
「うるさい。正直すぐ来るかと思ってたけど、あの人ほんとわけ解らん」
「ああ、小宮山さんか。あの人忘れてるかもよ」
「言うな。俺もちょっと思った。というか気付かずに捨ててそうだなって」
「流石にそれは無いんじゃない？きっちりしてそうだったし」
あの夜の冷静なやりとりを思い出せば頷けるが、社会人としてそうでも個人としての彼女のことはさっぱりわからない。
「珍しくない？ 天下の松潤に連絡先貰って連絡してこない女性とか。そこに興味持っちゃった？ もしかして小宮山さんの作戦かもよ」
矢継ぎ早に言われて、松本は眉間にしわを寄せる。
「天下の松潤って言うな。‥そういう駆け引きするタイプには見えなかった」
「まぁ確かに」
松本の言葉に二宮が頷く。
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん、一気読み疲れないですか？今後どんどん長くなる上に、どんどん何なのこの人たちってなるので(笑)ありがとうございますー！ (2021年10月3日 19時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 小出しもいいけど、一気に読めると尚嬉しいから 一気に出しても大丈夫ですよ~♪ (2021年10月3日 13時) (レス) @page29 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月29日 1時
