＊ ページ28
「Aっ！！」
扉を開ければほんの数メートル前を歩くAを認めて、潤は急いでその腕を掴んだ。
逃げられるかと思ったのに、彼女はたやすく振り返る。読めない表情と瞳で潤を見上げて。
そんな顔、見たくない。
けれど今は不安と心配が潤の中を突き抜けていく。
「馬鹿っ！ なにやってんだよ、こっち来い！」
「っ！！」
「指輪吐け、でないと病院で胃洗浄だぞマジでっ」
店の裏手から入れるスタッフルームに連れていこうとすると、掴んだ腕を大きく振り払われた。
「何やって――っん」
ぐっと。
Aの両手が頬を掴んで、普段の彼女からは想像もできない力で引き寄せられて、潤はあっという間に唇を奪われた。
驚く彼を無視して、口内にAの舌が入り込む。
その熱と感触と味にクラクラしながら、キスに応えようとした潤は口の中に違和感を覚えて目を瞬かせた。
同時に、すっと離れたAが無関心なんてどこかに追いやった瞳で下から睨みつけてくるから。
潤の身体中を歓喜という衝動が駆け巡る。
Aの目に明確な嫉妬。
欲しかったその強い視線。
孕んだ色は激情を纏って、潤の中にAへの愛を溢れさせた。
口移しで入れられたのは、先ほどAが飲み込んだと思わせた指輪。
「‥っ、A、ごめ」
潤に最後まで言わせず、またAが奪うように飲みこんでいく言葉。
堪らなくなって、ここが外だということも忘れて潤は仕掛けられたキスに夢中になる。
きつく抱きしめて、さっきは何も感じなかった唇の触れあいに、相手が好きな女だというだけで馬鹿みたいに翻弄される。
いっそ壊されたい。
もう壊れてるのかもしれないけれど。
Aの視線、声、立ち上る甘い香り。
そのすべてに追い立てられて、もっともっととキスを繰り返す。
「‥‥A、抱きたい」
「嫌」
「抱かせて、お前が欲しくて死にそう」
「死にそうなら一人でどうぞ」
「っ、行くぞ」
「ちょっとっ！」
抵抗されても、手放せない。
すっかり外れた理性のタガが潤の足を速める。Aの腕を掴む力も増していく。
家まで待てない。今すぐほしい。
転がり込んだホテルの一室で、嫌がる彼女を抱いて、揺らして、揺れて。
最終的には涙と汗と色んな液体にまみれたAから「馬鹿」と「好き」を両方貰って、潤はようやく己を取り戻した。
甘ったるいAのすべてに溺れていく。
きっともう、戻れない。
戻るつもりもないけれど。
『Sugar』
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» ありがとうございます！って、ゆぃさんまで何を仰る！(笑)私ニューヨーク行ったことないので‥‥(笑)でもタイムズ・スクエア前に立たせるだけで絵になる潤くんですよね、それを見たいです(笑) (2021年9月28日 11時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 完結お疲れ様でした~ NY編…いいです~♪ (2021年9月27日 13時) (レス) id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - さちこさん» さちこさんコメントありがとうございます！ほんっと格好いいですよね見事に落ちました(笑)全曲は流石に書けませんでした、そこまでネタが思いつかなくて‥。えっ、NY番外編っ！？えっそんなそんな(笑)でも少し妄想しちゃいました、タイムズスクエアの二人ですね成程！ (2021年9月25日 21時) (レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
さちこ(プロフ) - お塩さん、完結おめでとうございます！こちらのお話も大好きです♪untitled、ほんとカッコいいですよねぇ…全曲のお話書かれるのかと勝手に思ってたので、完結って見て「えぇ( ﾟДﾟ)」ってなっちゃいました(笑) NY番外編、気が向いたらお願いします(笑) (2021年9月25日 8時) (レス) id: 037683b6b9 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん返事遅くなってすみません！！ 同僚はものの見事に当てウマですほんとすみませんって気分になりつつ、あれはもう潤くんのイケイケ具合を楽しんで頂ければオッケーです！！ ね、どう思ったんでしょうかね‥(笑) (2021年8月28日 2時) (レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年8月11日 4時
