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56話 ページ8

夢主side


メイクをして、お気に入りの服に着替えて
家中掃除機をかけて、部屋を見渡す。


よし。ばっちり。


もう一度鏡の前に立って自分の姿を確認する。


ずっと家にいる生活が続いていて、
こんなにちゃんとおめかししたのは久しぶりだった。


_____ピーンポーン


もしかして、翔太くん?

連絡するって言ってたけど、どうしたんだろう、


玄関へ向かい、小さなガラスの窓から外を見る。


そこにいたのは

『彼方さん、どうして、』


すぐさま扉を開けて出迎えると、いつもと違う見た目の私を驚いたように見つめる。

彼方さん?と声をかけると、我に返ったように、あぁ、ごめん。と言う彼方さん。


「鍵、忘れちゃって。」

『あぁ、忘れ物ですか。びっくりしました』

「それと、」

『それと?』



「翔太から連絡が来た。Aさんに会いに行ってもいいかって。」


やっぱり連絡してたんだ、じゃあ翔太くんはこれから来るのかもしれない、
そんな期待とは裏腹に、彼方さんの表情はいつになく暗かった。


「、、、ダメって、言っておいた。」


『そう、ですか、。』

「ごめんね。お互いに会いたがってるのは十分に分かるし、俺も会わせてあげたいんだけど。

もう少し待った方がいいと思うんだ。」


「そうですよね...」


彼方さんの親切心も、私たちを心配してくれている気持ちも、痛いほど伝わってくる。

だからこそ、それでも会いたいだなんて言えなかった。


彼方さんは、それじゃあ、と小さく言って、また扉を開けて出ていった。


姿見に映る自分を見て、何浮かれているんだろう。と嘲笑する。

視界がだんだん歪んできて、頬を雫がつたっていくのがわかった。


あー、せっかくお化粧したのになぁ。


鏡には自分のぐしゃぐしゃになった顔が映っていて、せっかくおしゃれしたのにそれを見てくれる人もいない。


『メイク、落とそう、、。』


鏡を見ているだけで嫌気がさして、洗面所へ向かって顔を洗った。

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ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫)) - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみにまってます!(´;ω;`) (5月24日 21時) (レス) @page16 id: c7ac99c812 (このIDを非表示/違反報告)
めろサム - 続きがすごく気になります!! 夢主ちゃんと天月さんとのラブストーリードキドキ感が半端ないです( ु ›ω‹ ) ु♡ (2022年4月1日 0時) (レス) @page16 id: 836c3b464e (このIDを非表示/違反報告)
すふれ - 夢主ちゃんと天月さんの立場から考えたら、認められない恋なのかな、とは思ったけど、それでもお互いを想いあえるのって、素敵ですよね...この恋は実ってほしい(>_<) (2021年4月11日 18時) (レス) id: 48b03fa523 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:流雨 | 作成日時:2021年3月26日 0時

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