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1年が経った。
今だに見つからない。
亡くなってしまって居るんじゃないかって、最低なことを頭から振り払って
気分転換に外へと出かけた。
街に溢れかえる人
長い袖の服を着た人も増えてきた。
そっか、
「……もう秋だ」
きっと、Aが見つかろうが見つからなかろうが季節は巡っていく。
冬になって、春がやって来て、夏が来て
また、秋になる。
不意に、小さな白猫が道路を歩いて居るのを見て
Aのことを思い出した
Aは、猫が大好きだった。
実家で飼っていたと言う白猫の写真を、眺めて居るのをよく横から見ていた記憶がある。
僕の目の前の白猫は、大きな青い目で僕のことを見つめて、
僕の足にすり寄ってきた。
人馴れをして居るのか、噛み付く様子もひっかいてくる様子もない。
愛着が何と無く湧いてきて、
そっと抱き上げた。
「…あっ、ちょ、」
嫌がるように身をよじって、パッと僕の腕から出て行ってしまう。
少し走って、また止まって。
僕の方を見てなぁーんと鳴くものだから、
好奇心でついて行った。
ひと気のない路地に誘い込まれて、流石に意味もなく連れて来られたのかと不安になる。
ふと、前も見ると猫が車道を横切ろうとしていた。
クラクションも聞こえる、
咄嗟に、白猫へと駆け出して
守るように腕に抱いた。
そこからの記憶はない。
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「お、き、ろー!」
「う、うわあああ?!」
目を開けると、黒髪の女の子がどアップで視界に入ってきた。
起きた僕は自分がどこに居るのかわからなかった。
一点の曇りもない真っ白な空間、
自分と目の前の女の子しかいない。
……天国?
つまり僕は死んだってこと?
状況が把握できなくて困った様子の僕を見て、
女の子は言い放った。
「ここは天国なんかじゃないからね」
……じゃあ、どこなんだ?
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イーリス - とても、感動しました。私は、普段あまり感動しないのですが、この作 (小説)を、見た瞬間どうしても涙が止まらなくって、笑ってしまいました。 砂糖さんに、『勇気』と言う名前の 魔法をかけてもらいました。本当に、ありがとうございます。 (2018年6月8日 0時) (レス) id: ef79601f91 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とてもいいお話でした。学校とかで嫌なことがあった時、もう嫌だ…と思っていましたが、この小説を見て勇気が出ました。 (2017年9月24日 20時) (レス) id: 3d59140e51 (このIDを非表示/違反報告)
璃桜 - ちょうど今日私の恋人が事故で亡くなったという電話がきました。最初は私も死のうと思いました。でもこの小説を読んでもう少し生きていようかなと思いました。ありがとう。 (2017年9月24日 19時) (レス) id: 6eda127a87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:砂糖。 | 作成日時:2017年9月24日 18時