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修学旅行が明日に迫った今日、ユンジちゃんは学校をお休みした。
体調を崩してしまったそうで、明日に備えてのことらしい。
休み時間、なんだか眠くて机にうつ伏せていると、
「Aちゃーん」
名前を呼ばれ顔を上げた。
目の前には椅子に逆座りをしているジェファン君。
「明日どうする?」
『どうするって…?』
「いや、ダニエルの件で何か行動起こすのかなーってさ」
『ちょっ!みんなに聞こえちゃう…!』
咄嗟に彼の腕をパシパシと軽く叩いた。
全く……私ジェファン君にしか打ち明けてないんだから。
「ははっごめんごめん!
…で、どうなの…?」
2人にしか聞こえない声に抑えて聞いてくるけど…
まだジェファン君に話してなかった。
『あのね…やっぱり……無理みたい…』
「へ…?」
さっきまで笑っていた顔が一瞬静止する。
改めて言葉にすることで、
悲しさとか悔しさ、吐き出しようのない苦しさが溢れてくるようで、
視界は徐々に歪んでいく。
『ごめんね、応援してくれてたのに…』
「とりあえず放課後音楽室来て。話聞くから。わかった?」
柔らかく微笑んだジェファン君は、休み時間の終わりを告げるチャイムと共にそう告げて自分の席に戻っていった。
.
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放課後の音楽室。軽音部の活動は休みらしく、静かな教室に2人だけ。
後方にある合唱台の一番下の段に並んで腰掛ける。
「ダニエルと何かあった?」
『ううん……ダニエルとは何もなくて…』
じゃあどうして?というような不思議そうな顔で目線を下に逸らしたジェファン君。
『私……ジェファン君のこと裏切るようなことしちゃったの…』
また涙で視界がぼやけていく。
ずっと心の中にあった彼への罪悪感。
私の恋を手伝ってくれるジェファン君と
恋敵の恋を手伝うことになった私。
馬鹿みたい…
「全部吐き出していいよ。俺が聞いてあげるから」
そう促され、彼女の名前は伏せつつ今まで私を苦しめていたことを初めて人に話した。
「Aちゃんは?Aちゃんはダニエルのこと好き?」
きちんと自分の意思で断れなかった自分が悪い。
自業自得だってことはわかってるけど…
だけど…
『私は……ダニエルが好き…』
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しずく(プロフ) - 通行人さん» ありがとうございます!遅くなってしまい申し訳ないです。やっとオサナナナジミ。2を公開できますので楽しみにして頂けたら嬉しいです^^ (2018年7月23日 14時) (レス) id: 1f3b3782e0 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - せりさん» コメントありがとうございます!楽しみにしてくださってるんですか。有難いです!もうすぐ続きを公開しますね^^ (2018年7月23日 14時) (レス) id: 1f3b3782e0 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - yuuhattoriさん» ありがとうございます!そんなに喜んで頂けてるなんて嬉しいです;;そろそろ2の方を公開しますので! (2018年7月23日 14時) (レス) id: 1f3b3782e0 (このIDを非表示/違反報告)
通行人 - 面白いです!続き気になるああああああ (2018年7月8日 17時) (レス) id: b198da2ece (このIDを非表示/違反報告)
せり - 今回も面白い!オサナナナジミ。2嬉しすぎます。楽しみにしています!!頑張って下さい^_^ (2018年7月7日 21時) (レス) id: a32ee9cad6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しずく | 作成日時:2018年3月7日 22時