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部活が終わって、いつもの通学路をいつもと違う人と歩いている。
「暦の上ではもう秋のはずなのに、なんでまだ暑いんですか、先輩」
『もうすぐ涼しいとこ着くから我慢我慢』
子供のように文句を言いながら横を歩くジニョン君と向かう先はファミレス。
授業でわからないところがあったから教えてほしいと頼んできたのだ。
先生に聞いた方がいいんじゃないかとも思うけど、こうやって頼りにしてくれるのは素直に嬉しい。
店に着き入口のドアを引くと、ひんやりとした冷気が体を包み込んでくれる。
ドリンクバーと適当にサイドディッシュを頼み、教科書とノートを広げたジニョン君。
「ここなんですけど」
差し出されたのは数Aの問題。
とりあえず自分でも解いてみることに。
すると、
パシャッ
確かに聞こえたシャッター音。
咄嗟に顔を上げると、ドリンクを片手にスマホを操作している彼。
『ちょっとなんで撮るのー』
「なんか彼女みたいだなーって思って」
か、かのじょ……?
思わず自分の耳を疑った。
ほら、と見せてきた画面には、目の前の問題に打ち込む自分の姿が写っている。
ジニョン君は軽いノリで言っただけで特に深い意味はないことくらい明らかなのに、
真に受けてしまった私はすっかり黙り込んでいた。
「あれ、どうしたんですか?」
『べ、別になんでもないよ!
この問題はね……』
気を紛らわすためにも問題の解説を始めた。
一通り解説を終えて彼の方へ目を向けると、テーブルに肘をつきながらぼーっとこちらを見ていて視線がぶつかる。
相づちも打ってたしちゃんと聞いてくれてたよね…?
『…ジニョン君理解できた?』
「……あぁ!はい!
大丈夫です。ありがとうございます」
『今絶対考え事してたでしょー』
からかうように笑う私に、バツが悪そうに口を開く。
「…修学旅行のお土産何買ってきてくれるか考えてました」
いやいや、可愛いのね…
買ってくるとも約束してないお土産を楽しみにするなんて。
……忘れないように買ってきてあげよ。
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しずく(プロフ) - 通行人さん» ありがとうございます!遅くなってしまい申し訳ないです。やっとオサナナナジミ。2を公開できますので楽しみにして頂けたら嬉しいです^^ (2018年7月23日 14時) (レス) id: 1f3b3782e0 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - せりさん» コメントありがとうございます!楽しみにしてくださってるんですか。有難いです!もうすぐ続きを公開しますね^^ (2018年7月23日 14時) (レス) id: 1f3b3782e0 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - yuuhattoriさん» ありがとうございます!そんなに喜んで頂けてるなんて嬉しいです;;そろそろ2の方を公開しますので! (2018年7月23日 14時) (レス) id: 1f3b3782e0 (このIDを非表示/違反報告)
通行人 - 面白いです!続き気になるああああああ (2018年7月8日 17時) (レス) id: b198da2ece (このIDを非表示/違反報告)
せり - 今回も面白い!オサナナナジミ。2嬉しすぎます。楽しみにしています!!頑張って下さい^_^ (2018年7月7日 21時) (レス) id: a32ee9cad6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しずく | 作成日時:2018年3月7日 22時