第百十六話 理論的最適解 no-side ページ43
「あ、あたしは失敗するわけには!」
血相を変え、足掻くルーシー。
しかし敦が“はいどうぞ逃げていいよ”なんて言うなずもない。
「今から手を離す、決断の時間は……扉が閉まるまでの一瞬しかないよ……」
「ダメッ!!待ってぇっ!!」
ルーシーは声の限り叫ぶが、敦はもう腹を括ってある。
___その瞬間、敦は手を離した
ルーシーの叫び声と共に敦は扉の中へ吸い込まれていく。
次に気がつくと、盛大なクラクションのおとに囲まれていた。
元いた交差点のド真ん中に部屋にいた全員が呆然と座っている。
「戻れた」という安心感を敦は感じる。それは皆同じようだ。
歩道にいたルーシーに敦は駆け寄って話しかけたが、
泣きながら走り去ってしまった。
その横から大声が。
「嗚呼、エリスちゃぁん!!」
「エリスぅぅぅう!!あぁもう愛しい!!」
「もう、大丈夫だったかい?どこに行っていたんだい?心配したのだよー!?突然いなくなるから!」
「本当だよエリス!!いくらヨコハマの放浪者たる妾でも心配したのだよ!!」
「急に消えたら、リンタロウとドクターが心配するかなぁ、って思って2人を泣かせたくなった」
「酷いよエリスちゃぁん!!」
「でも可愛いから許すに決まってる!!」
その和やかな風景を眺める敦にも、お迎えが後ろから衝突した。
「鏡花ちゃん?迎えに来てくれたの?」
「心配した」
敦は姿勢を低くしてありがとう、と言葉をかける。
「それでは、私達は失礼するよ」
敦は姿勢を戻し、ちゃんと相手を見つめる。
「先程はアドバイス、ありがとうございました。そう云えば、お2人はお医者さんなのですか?」
「私は元医者だよ、今は小さな寄り合いの仕切り屋中年さ。」
「妾は現役だがね」
「少年、どんな困難な戦局でも、必ず理論的最適解はある、混乱してヤケになりそうな時ほど、それを忘れてはいけないよ」
「はい」
「ではでは。」「また会おう、少年」
2人は手を振って去っていく。
「困難な時でも道はある……か。」
その時、鏡花が敦の片腕をぎゅっと握った。
異様なほどに荒れた呼吸になにかの異変を感じた。
恐れのような、その息遣いに敦は声をかけるばかりだった__
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死神参謀凶華(プロフ) - 神楽さん» ありがとうございます!!続編絶賛考えてます! フォローありがとうございます!! (2018年10月14日 10時) (レス) id: 49037b932f (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - 続編ですか!おめでとうございます!楽しみに待ってます!P.S.Twitterフォローしました (2018年10月14日 10時) (レス) id: 7244bac494 (このIDを非表示/違反報告)
死神参謀凶華(プロフ) - りとさん» ありがとうございます!頑張ります! (2018年10月6日 17時) (レス) id: 49037b932f (このIDを非表示/違反報告)
死神参謀凶華(プロフ) - 紅月さん» 中也さぁぁぁん←変換欄を殺して頑張った続編をお楽しみあれ…… (2018年10月6日 17時) (レス) id: 49037b932f (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも楽しいお話を待ってます! (2018年10月6日 17時) (レス) id: 892238b735 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凶華 | 作成日時:2018年10月6日 17時