割と普通の女の子だって万能の異能者になれるとは。

第七十九話 湯豆腐の後の散歩 敦side ページ2

「……食べ過ぎた」

「そ、そうだね…………足りてよかった」


財布の中を見れば湯豆腐によって小銭だらけ。

本当に足りてよかった。

Aさんに以前


“『敦君、太宰さんは反面教師ですから、良いですか！？ツケなんて許しませんから！うずまきならまだしも！』”

“「は、はぁ。うずまきはいいんですか」”

“『……実はこのビルは私の土地、と言うか、父のものでして。だからツケの分、あちらの家賃(？)が安くなり、プラマイゼロです』”


って言われたから……

Aさんの、ってのにはびっくりしたけど、

とにかくうずまき以外でのツケ(？)はやばい。

“万能に処される。”By乱歩さん。


そこへ国木田さんの言葉がフラッシュバックした。

＿＿＿お前の舟(ボート)は1人乗りだ救えない者を救って乗せれば＿＿共に沈むぞ＿＿＿

＿＿＿軍警の屯所に連れて行け、娘に気づかれるなよ＿＿＿

……行けば彼女は死罪……




「行こう」

「どこへ？」

「あ……」

「どこへ……行くの？私をどこへ連れていくの？」


“屯所”とは言えない。


「どこって……えっと……その……えーっと……」


彼女は莫迦ではないから、きっと自分が死罪になると判っている


「勿論君が行きたいところだよ！行きたいところとかない？君くらいの女の子が好きなところ！例えば……デェトスポット！、みたいな？ほら僕も今日は休みを貰えたし、君だって、これまで外で遊ぶことなんて無かったでしょ？」

「……デェト？」

「うん！」

「貴方と？」

「うん！……うん？……ああああぁ……特に深い意味があるわけではぁぁぁぁぁあ」


……

鏡花は少し顔を赤らめる


「……いこ」

「あ……はい」

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