９６話の氷漬け ページ4
「…そんなことがあったのか…」
『ああ、…そこでたまたま白竜と会ったんだ』
…そう、あれは確か、帰ろうと思って森の中を、歩いていた時。
＊
一年ほど前。私は駅に呼びつけられ、半ば強引にこの島へ連れてこられた。
…そこでサッカーをしないかと、誘われたわけなのだけれど。
そんな話を、通りがかりに出会った少年に話す羽目になってしまったのは、不運としか言いようがないだろう。
『…私はフィフスセクターの誘いは断った』
「なぜだ！組織がそこまでしてお前を欲しがっているというのに、なぜ断る！？」
『お前には関係ない』
「…ああ、そうだろうな。だが、俺は納得しない！するまでお前のことは帰さん！」
『なっ…、横暴だ…』
目の前の、白竜とかいう、この人。…この人はよっぽどサッカーが好きなのだろう。
…私に構うなど、時間の無駄でしかないというのに。どうしても、理由を話して納得させなければ返してくれないらしい。
『……私は、サッカーが好きじゃない』
「……」
『…完璧な兄さんと比べられるのはごめんだ。私は私の、完璧を目指す。そこにサッカーはいらない』
「…ふん、その言い草は気に食わんが志は認めよう。なぜなら俺も、究極を目指しているからな！」
『…！』
＊
そう言った白竜の表情を、私は今でも鮮明に思い出せる。とても希望に満ちていて、きらきらと輝いていたから。とても、楽しそうだった。
『……手合わせをしてくれたら帰してやると言った彼奴に、少しサッカーを教わって。それから、勝負をして帰った』
「…勝ったのは？」
『…当たり前だろ。白竜だ。彼奴は易々と私を突破したように思えたけど…、褒めてくれた。
そしてまた、いつか会ったら勝負をしようと約束したんだ。…だから、今日ので一勝一敗』
白竜は筋がいいと、私を褒めてくれた。俺も完璧を目指すからお前も頑張れと、応援までしてくれた。
…態度は些か鼻につくが、悪いやつじゃない。
『……案外、気が合うのかも。同じようなものを、目指してたから』
「…そうだな。彼奴は究極を目指していた。いや、今でも目指してるだろうな」
『…ああ、違いないな』
…私も白竜に負けないように、もっと、努力しなければ。
あの時に褒めてくれた、彼の言葉は、間違いなく私の支えであったのだから。
＊
ラッキーナンバー
8
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【イナGO】究極に取り合いだッ！【空野葵】
どうやら生まれ変わった妹に恋をしてしまったようです。【シュウ】 【イナクロ】〜あの人の姉はエルドラドにいる優しいのかわからないウザい系少女で...もっと見る
「イナズマイレブン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
デルタ((優嫁(プロフ) - ウチ？さん» ありがとうございます！そ、そんなことを言っていただけるなんて…本当にありがとうございます！ (2014年4月5日 1時) (
レス) id: b4fe94b31e (このIDを非表示/違反報告)
ウチ？ - 過去編で泣いちゃいました、悲しいですね(；´д⊂) (2014年4月4日 23時) (携帯から) (レス) id: 1e006debc3 (このIDを非表示/違反報告)
デルタ((優嫁(プロフ) - アレン@さん» ありがとう！気づかなかったよ； (2013年10月28日 19時) (レス) id: d6aeeba79d (このIDを非表示/違反報告)
アレン@ - デルタ((優嫁さん» うんー疲れた。10000hitおめでとう!! (2013年10月28日 16時) (レス) id: 4f681d4e7b (このIDを非表示/違反報告)
デルタ((優嫁(プロフ) - アレン@さん» おぉう！？お疲れ様!! (2013年10月27日 17時) (レス) id: d6aeeba79d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2013年9月1日 22時
