愛寵噺【東京卍リベンジャーズ】 (ページ8)

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薔薇風呂【灰谷蘭】ページ8

「……いい香りだね」

「んー。オレはちょっとむせそう」

ストレス続きの毎日で疲弊している彼女は…

ロマンチックで非日常的な空間を味わいたいがために、薔薇風呂を考案した

「この空間…すごいリラックスできる」

自宅の浴室で湯船にバラの花びらを浮かべて、優雅なひとときを楽しんでいた

「なんだか…お姫さまになった気分」

美しい薔薇の豪華さ、華やかさ、優美さは見るものを惹きつける力があった

これは好き嫌いが別れるが、花本来が持つ香りには…

リラックスとヒーリング効果があった

「Aはオレのかわいい姫だよ」

彼は正面から彼女を抱きしめて言った

「ふふっ…。蘭、ありがとうね」

微笑んだ彼女は彼の背中に腕を回した

「バラ風呂もプリンセスも、女の子の憧れなの」

いくつになっても…

プリンセスという存在は女性の憧れの対象であった

「ってか…Aの髪いい匂いするー」

彼は彼女の髪を一束すくって告げた

「今シャンプーなに使ってたっけ？」

「あれ。ハチミツのやつ」

浴室の高い位置に置いてある場所を指さした

「あー、割と人気なやつね」

コスメサイトに殿堂入りしている商品であった

「私の髪質に合ってるから気に入ってるの」

保湿と保護成分を重視したヘアケア商品は、Aの髪質にとても合っていた

「蘭はまだ…高いやつ使ってるの？」

今度は彼女が彼に問いかけた

「うん。美容師に勧められてからずっとアレ。

もう何本リピしたか覚えてねェ」

2人は各々別の物を使用していた

美意識が高い彼は、頭から足の先まで自分に気を使っていた

「確か５千円くらいするやつだったかな。

コスパは悪いけど…質は確かなんだね」

双方とも美容アイテムには何かしらこだわりがある様子だった

薔薇風呂に浸かって数十分…

2人は他愛もない会話をしながら、恋人と過ごす時間を大切にしていた

「オレさー…Aと風呂入るの好きだわ」

彼はバラを掬いながら告げた

「1日の疲れが吹っ飛ぶ」

愛しい彼女と共に入る風呂は格別であり、恋人同士の貴重な時間であった

「…っ……んッ…！」

突然、彼女は体を仰け反らせた

「ちょっと、蘭…！」

胸に違和感を感じた彼女は彼に物申した