闇夜に咲く一輪の花５【梵天】 (ページ17)

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戌ノ刻ページ17

宵五(よいいつ)ツ＿＿

現代の時刻では20時

夜見世の宴会を終えた美涼は、個室の客間にてある人物を接待していた

「すげぇキレイだよ」

美涼は扇子を用いて日本舞踊を踊っていた

その姿は優美でしなやかに上品な舞の仕上がりになっていた

『恥ずかしいんだけど…』

持て成しという形で緩歌慢舞(かんかまんぶ)に披露していた

喜劇のような悲劇は＿＿

美涼が舞踊れば

それは拍手喝采に変わる

灰谷蘭「で、仕事は順調？」

美涼は蘭にお酌をしながら会話をしていた

『うん。後は楼主を殺るだけ』

蘭は九井と同様に金を積んで美涼に会いに来ていた

『黒幕は…私の部下が突き止めて暴いたの』

2人は杯を交わしながら近況報告をしていた

『昨夜、私が本人を暗殺した』

浅草で有名な日本酒を嗜んでいた

美涼は蘭と共に一献(いっこん)傾けていた

私はまだ勤務中だから

そんなには呑めないけど…

客の呑みに付き合うのも仕事の一環であった

『ねぇ…ちょっと、蘭』

美涼は蘭に頼まれて膝枕をしていた

『酔ってるの？』

自分の膝に頭を預けている蘭の顔を覗きこんで言った

灰谷蘭「全然酔ってねぇよ」

返事は即答で返ってきた

灰谷蘭「まぁ、ひとつ言えんのは…」

"美涼に酔ってるかもしんねぇな"

酒豪で上戸の蘭は全く酔った様子はなく、顔にも出ていなかった

灰谷蘭「美涼の花魁姿はやべぇわ」

美涼を見上げながら見惚れていた様子であった

灰谷蘭「寝てないにしろ…

他の客とも至近距離で接待してたんだろ？」

そう放った蘭は少し顔色が曇った

『それが仕事だからね』

そんなこと

言われても…

仕方ないじゃん

灰谷蘭「ちょっと…お仕置な」

そう言って蘭は起き上がって美涼を優しく押し倒した