検索窓
今日:19 hit、昨日:30 hit、合計:382,357 hit

ページ6

.





「ただいま戻りました」


社屋に戻ると谷崎さんがつい立てと観葉植物で仕切られた応接セットの処で誰かと話をしていた。
 依頼人だろうか、然し予約も何もなかった筈……と首を傾げていると太宰さんに肩を叩かれた。


「敦君。私は少し調べものがあるから失礼するよ。国木田君に私が真面目に仕事をしていると伝えておいてくれ」


「はぁ……」


太宰さんを見送り、谷崎さんの方を見る。依頼人らしき人がちらりと見えた。全身真っ白だった。髪も、服も。


「あっ、敦君……」


谷崎さんの顔が輝く。依頼人に一言告げると此方に来てヒソヒソと話し始めた。


「人を探してるらしいんだけど……巫女服で、とか多分小さい男の子を連れているとか……断片的な情報しかなくて……。他の人たちはがんばれって云うし……。なンもわかんないからどうしようもなくて」


谷崎さんに助けを求められた。僕もどうしたらいいかわからない。抑々探偵社は人探しをする処だっただろうか。


「おーい、矢っ張り探すのは難しいのか?」


依頼人と目が合った。見た目は白く、儚げな雰囲気なのに口調が全く合わない。然し、とても綺麗だった。


「あっ、いや、そんなことないです! ちゃんと見つけるので……」


慌てて返事をすると依頼人はそうか、と云って笑う。



「俺の名前は鶴丸国永だ。君は?」


「えっと、中島敦です」


「ふぅん、そうかそうか。敦。よろしくな」


いきなり下の名前で呼ばれて驚いたが、ただ単にフレンドリーな人なのだろう。別に悪い人でもなさそうだし……。


谷崎さんは社長に今のことを話してくるからと席を外した。乱歩さんがいれば簡単に解決できるが、生憎出張でいない。僕らでなんとかするしかないみたいだ。

五→←三



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (237 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
582人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます!続編でもぜひぜひよろしくお願いします……! (2018年3月25日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます!とても面白い作品ですね(*^^*)尊敬します! (2018年3月24日 9時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 花凪@南アルプス天然水さん» ありがとうございます……!! (2018年3月21日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
花凪@南アルプス天然水(プロフ) - はい神作。うん。 (2018年3月19日 10時) (レス) id: 883e9e7f0a (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - サッピーさん» ありがとうございます……! いつもこんな感じでいいのかな、と不安だったのですがサッピー様のコメントで不安吹き飛びました! 更新がんばります! (2018年3月5日 16時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:織川 | 作成日時:2018年2月25日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。