三十六 ページ38
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ヨコハマのとある楼閣。ひとつ、ふたつ。眼下に広がる街を見下ろす影が増える。
「ボクだって隊長やりたかったなー。薬研、代わってくれないの?」
風に吹かれてめくれそうになるスカートを押さえながら問いかける。するともう一方の影が口を開いた。
「そ、そんなことしたらいち兄が困っちゃいます」
「うーん。そっか、いち兄困らせるわけにはいかないもんねー。……そういえば五虎退は虎たち本丸に置いてきたの?」
何時も一緒にいるはずの五匹の虎がいない。五虎退と呼ばれた少年は目を伏せた。
「此処に連れてきたらかなり問題になるからダメって……」
ずっと二人の会話を聞いていた薬研がおもむろに立ち上がり、リュックを背負い直した。
「そろそろ行くぞ。夜戦を考慮しての編成だが夜になる前に大将と第一部隊を見つけ出す。こんのすけの報告だと歴史修正主義者も現れるらしい。昼戦じゃあ俺たちは不利だ。戦いは避けていく」
「隠密行動や偵察ならボクたちが上だよね! あるじさんたち早く見つけて帰ろ!」
部隊長である薬研は紙片を取り出した。こんのすけが此処で行動するにあたって気を付けるべき点を書いてくれたものだ。
「武装探偵社、異能、ポートマフィア。へぇ、なんか物騒な処だな。此処」
其の紙片を横から覗き込む者がいた。名を厚藤四郎。栗田口では頼りにされている方だ。……他の兄弟に対しては言及しないでおく。
「早く見つけようとは云っておいたが……かなり長期戦になる」
「部隊長様がそんなこと云ったら他の皆不安にさせちまうぞ? みーんな早く帰る心算なんだから。リュックに詰めた荷物だって本体と刀装と手入れ道具ぐらいしかないし」
薬研は空を見た。妖の類いが出てきそうな曇天の空を。
桜色の花弁がひとつ、ひらりと舞った。
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織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます!続編でもぜひぜひよろしくお願いします……! (2018年3月25日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます!とても面白い作品ですね(*^^*)尊敬します! (2018年3月24日 9時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 花凪@南アルプス天然水さん» ありがとうございます……!! (2018年3月21日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
花凪@南アルプス天然水(プロフ) - はい神作。うん。 (2018年3月19日 10時) (レス) id: 883e9e7f0a (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - サッピーさん» ありがとうございます……! いつもこんな感じでいいのかな、と不安だったのですがサッピー様のコメントで不安吹き飛びました! 更新がんばります! (2018年3月5日 16時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:織川 | 作成日時:2018年2月25日 11時