空舞う花は桜色【刀剣乱舞】【文豪ストレイドッグス】

三十四 ページ36

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ポートマフィア本部はヨコハマの隅にひっそりと建っているわけではなく、堂々と、当たり前のようにヨコハマの中心に存在していた。表向きはごく普通の企業を演じているからだ。


本部の最上階。其処に首領の執務室がある。普通の構成員が簡単に入れるような場所ではないが、芥川は執務室に続く廊下にいた。


裏切り者を始末し、掃除屋を呼んで退散しようとした時、数日前に逃がした謎の人物に会った。何故か一人増えていたが、どうでもいい。今度こそ殺してやろうか。そう考えた時、邪魔者が入った。
　二メートルはありそうな体。そして薙刀を携えた男。面倒事が起きると考えた芥川は直ぐに逃げ、報告書にそのことを記した。その結果首領に呼ばれたのである。


「何故こんなことに……」


咳き込みながらも薄暗い廊下を歩く。見張りの構成員に部屋の中へ通され、芥川は執務机に真剣な表情で向かっている首領を見つけた。


「やあ芥川君、少し相談があるんだ。エリスちゃんには赤色のリボンと白いリボン。どっちが似合うと思う？ 先刻店で買ってきたんだ」


どうでもいい内容だった。然し芥川は少し考えた後、赤色のリボンを指差す。


「だよねえ。流石芥川君」


何が流石なのか判らなかったが、取り敢えず機嫌を損ねずに済んだらしい。首領は咳払いすると芥川の報告書を掲げた。


「この謎の人物について詳しく教えてほしい」

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