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三十 ページ32

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「ただいま帰りました」


島崎さんたちは予定よりも早く帰ってきた。探し人の一人を見つけたらしい。衣真君、三日月さん、鶴丸さんの順で入ってきて、最後に二メートルはありそうな男性が来て国木田さんが持っていた手帳を落とした。


「えーと……岩野融(いわの とおる)さんです。一般の方よりも少しだけ大きいんですが、とても優しい方なので……」


「よろしく頼む!」


そう云って豪快に笑う岩野さん。少しだけ大きいとかそういうレベルではない。鏡花ちゃんと比べたらかなり差があるだろう。


「それで……国木田さん、お話があるのですが」


「いいや、話さなくていいよ。内容判ったし。僕から社長に説明してあげよう」


乱歩さんは駄菓子を机の上に放り投げた。島崎さんは「如何して……」と呟く。


「死体見つけちゃったんでしょ? 血の臭いがする。と云っても微かに臭う程度だし君たちが殺したってわけではなさそうだね。島崎は何時もと違って余裕がなさそうに見えた」


其処から推理しただけ、と云って乱歩さんは社長室に向かっていった。あの様子だと死体がある場所もきっと判っているのだろう。


「乱歩さんは探偵ですか? 凄い方ですね……」


いきなり始まり、直ぐに終わってしまった推理ショーに関心を示す島崎さん。


「探偵社の者は皆ああいうことができるのか?」


三日月さんの問いに僕は首を横に振って否定した。全員ができるわけではない。あれは乱歩さんだけだ。僕の場合は虎になることぐらい。


……いや、これも“普通”ではない。探偵社に入ったことで少しずつ自分の常識が変わっていくことを実感し、ため息を吐いた。

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織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます!続編でもぜひぜひよろしくお願いします……! (2018年3月25日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます!とても面白い作品ですね(*^^*)尊敬します! (2018年3月24日 9時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 花凪@南アルプス天然水さん» ありがとうございます……!! (2018年3月21日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
花凪@南アルプス天然水(プロフ) - はい神作。うん。 (2018年3月19日 10時) (レス) id: 883e9e7f0a (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - サッピーさん» ありがとうございます……! いつもこんな感じでいいのかな、と不安だったのですがサッピー様のコメントで不安吹き飛びました! 更新がんばります! (2018年3月5日 16時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:織川 | 作成日時:2018年2月25日 11時

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