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二十九 ページ31

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やっとの思いで三人に追いつくと、全員険しい表情で何処かを睨んでいた。その視線の先を追い、絶句する。


「芥川……龍之介、ですよね」


黒外套、痩せ細った体。あの時見たままの姿だ。足元には数人の死体が転がっている。そこで漸く辺りが血生臭いことに気づいた。


「主、一旦逃げた方がよさそうだ」


誰かがいるときは主と呼ばないように、という忠告を忘れるほど三日月さんは焦っている。今にも抜刀して芥川に襲いかかりそうな雰囲気に押され、何も云えない。


「僕の目の前にまた現れるとは。不運だな。二度も敵を逃すほど僕は愚かではない」


「けれど、まえはぼくたちをみうしないました。こんかいもにげますよ」


鶴丸さんだけは状況を掴めずに右往左往している。そういえばあの時、彼だけいなかった。


「ヤバイ状況だってのは理解できた。……然し俺が察知した気配はこの男じゃなくて……」


刹那、鶴丸さんの言葉を遮るように誰かが上から降ってきた。それが誰なのか直ぐに気づいた今剣が歓喜の声をあげる。


「岩融!」


薙刀を携えた彼は微笑み、芥川を牽制しつつ、此方に近づいた。


「これはどういう状況だ?」


四対一。不利であると判断した芥川が黒外套の一部を私たちに広げ、視界を塞いだ。黒外套がなくなったかと思えば目の前にいた芥川はいなくなっている。


「逃げた……みたいですね」


全員深追いはしないようだ。誰も追う素振りを見せない。


「岩融さん。今まで一人で行動していたんですか?」


「いや、二人で行動していた。道中、歴史修正主義者に襲われたせいではぐれてな……」


この“二人”とは小狐丸さんか石切丸さんだろう。成る程、と返事をして放置されている死体に近づいた。


「警察に連絡した方がいいですよね……。でも事情聴取されたら色々と危ないし……」


一体何をして殺された人なのだろうか。既に死体となった者たちは勿論答えてくれない。


「……探偵社の人を呼びますか」


最善策はそれだった。身分を証明するものがない私たちは警察ではなく探偵社に頼るしかない。

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織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます!続編でもぜひぜひよろしくお願いします……! (2018年3月25日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます!とても面白い作品ですね(*^^*)尊敬します! (2018年3月24日 9時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 花凪@南アルプス天然水さん» ありがとうございます……!! (2018年3月21日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
花凪@南アルプス天然水(プロフ) - はい神作。うん。 (2018年3月19日 10時) (レス) id: 883e9e7f0a (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - サッピーさん» ありがとうございます……! いつもこんな感じでいいのかな、と不安だったのですがサッピー様のコメントで不安吹き飛びました! 更新がんばります! (2018年3月5日 16時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:織川 | 作成日時:2018年2月25日 11時

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