十九 ページ21
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太宰さんと中島さんより少し遅れて探偵社を出た。探偵社の社長から何故かお金を頂き、今は中華街にいる。
「あるじさま、ここがかこならあるじさまのそせんだっているんじゃないんですか？」
「……うーん、此処に祖先はいないかもしれない。此処は私が生きる世界とは少し違う歴史になってるから……」
違う歴史？ と鶴丸さんが問う。
「太宰治、中島敦、泉鏡花、芥川龍之介、そして社長の福沢諭吉。この人たちは私の世界では数百年前に活躍した偉人、文豪とされています」
「ぶんごう？」
「文豪の定義って私はよく判らないんですよね。取り敢えず凄い小説を書いた人……みたいな」
この世界にはきっと文豪としての太宰治も中島敦も存在しないのだろう。
「本丸に帰ったら本を取り寄せてみましょう。私が読んだことがあるのは太宰治の人間失格ぐらいです。他はあまり……」
「あるじさまってあまりほんとかよみませんよね。いつもいそがしそうです」
「鶴丸が驚きを与えると云って度々問題を起こすからだろう。……そういえば、主が政府に呼ばれて本丸を留守にしていた時は栗田口の短刀を驚かせて叱られていたな」
「ちょっ、三日月それ云うなって！」
「……一期一振が過労で倒れそうですね。これからは控えるように」
知らなかった事実を聞かされ、少し叱りたいところだが、中華街で騒いで周りの人たちを驚かせたくない。
「……あるじさま」
今剣が服の裾を引っ張った。どうしたの、と聞こうとした瞬間、爆音が轟く。
「……あ」
歴史修正主義者。どうやら此処にも現れるらしい。槍、大太刀、太刀、短刀がそれぞれ一体。辺りは騒然となり、歴史修正主義者と逆方向に皆逃げ出した。
「こんな処で暴れられたらかなりの被害が……。主、どうする？」
「今剣は短刀を、三日月さん、鶴丸さんは先ず槍を最優先で倒してください」
叫び声と泣き声が未だあちこちから聞こえてくる。歴史修正主義者は店の中で逃げ惑う人を狙う心算らしい。此方に気づかず、背を向けた。
三人は一斉に駆け出した。刀を構える姿を直接見るのは久しぶりな気がする。
せめて何かやれることはないだろうか。瓦礫が散乱する中、逃げ遅れた人や怪我人を探すため、歴史修正主義者に注意しながらその場からそっと離れた。
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織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます！続編でもぜひぜひよろしくお願いします……！ (2018年3月25日 14時) (
レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます！とても面白い作品ですね(*^^*)尊敬します！ (2018年3月24日 9時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 花凪@南アルプス天然水さん» ありがとうございます……！！ (2018年3月21日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
花凪@南アルプス天然水(プロフ) - はい神作。うん。 (2018年3月19日 10時) (レス) id: 883e9e7f0a (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - サッピーさん» ありがとうございます……！ いつもこんな感じでいいのかな、と不安だったのですがサッピー様のコメントで不安吹き飛びました！ 更新がんばります！ (2018年3月5日 16時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：織川 | 作成日時：2018年2月25日 11時
