二十一 ページ24
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「……私も異能者だと思います。然し、こんな幼い子供が戦うなんて信じられませんね」
本当は子供じゃないが、と心の中で否定する。
賢治先生が春画コレクションを盗み見た時のことを思い出した。あのときは一週間ほど賢治先生と話すのを避けていた気がする。
「だよねえ。矢張り異能者か……」
早足で会議室から出た。音を立てないように扉を閉め、冷や汗を拭う。
「しんど……」
家に帰って寝てしまいたい。全部夢だったらいいのに。侵蝕者も、先生方の存在がポートマフィアに知られたのも。
廊下を見渡すと、相変わらず人っ子一人いないようで、静まり返っていた。
駐車場へ戻り、三人が無事だったことに安堵する。
「帰りましょうか……。って、私の家に泊まるんですか? 其処まで広くないんですが」
敦先生は「女性の部屋に泊まるのは気が引けます」と遠慮気味だ。
「だから館長さんは探偵社に頼れって云ったのかな……。泊まる場所、用意してくれそうだよね」
「南吉、探偵社でもそんな簡単に用意できると思えないよ……」
車内で寝かせるわけにもいかない。どうしようかと頭を悩ませていると、ある名案が思い付いた。
「他の先生なら探偵社と接触している可能性があります。きっと社員寮に泊まる筈。其処に泊まれば大丈夫なのでは?」
「けど司書さん。社屋に泊まるかもしれないよ?」
「出会って一日の方を社屋に泊めるとは思えません。大事な資料を閲覧されるかもしれませんし」
「そっかぁ……」
こんな時間まで残っているかは怪しいが、行ってみなきゃ判らない。車を走らせ、社員の誰かが残っていることを祈った。
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あいねこ(プロフ) - 更新はこれで終わりなのですか?とても面白かったので再開して頂けたら嬉しいです! (2020年8月23日 11時) (レス) id: a4bed0c9af (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 涼花凛娘さん» コメントありがとうございます……!そのようなお言葉が頂けるとは……恐縮です。これからもがんばります! (2018年3月16日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
涼花凛娘(プロフ) - とても面白かったです!文ストと文アルのクロスオーバーは最近増えていますが、どの作品とも似ていない…といいますか。とにかく素晴らしいです!此れからも頑張ってくださいね! (2018年3月15日 19時) (レス) id: ff189753ce (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 巫子さん» ありがとうございます! 文アルと文ストのクロスオーバーを書くにあたって絶対会わせたかった二人なので私も書けて楽しいです! 更新がんばります! (2018年3月14日 20時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
巫子(プロフ) - 太宰さんとオダサク!!これからの展開が楽しみです!更新待ってます。 (2018年3月13日 22時) (レス) id: c9541627c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:織川 | 作成日時:2018年2月25日 17時