五十五 ページ18
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Aが審神者になったばかりの頃を思い出している中、三日月は一人で中原と対峙していた。
「手前らがあの化け物の仲間じゃないと仮定して……じゃあどういう理由で此処に来たんだ?」
「理由、とな」
「此処に来た理由、あとは名前だ。「三日月宗近」って刀の名前なんだろ? 俺はそういうのには疎くて判らねェが首領が仰ってたもンでな」
芥川と初めて会ったとき、三日月は自分で名乗っていたことを思い出した。どう言い訳しようか迷っていると、更に中原は畳みかけてきた。
「アンタらについて少し調べさせてもらった。然し何一つ情報がありゃしねェ。本当にこの世界に存在しているのか疑いたいくらいにな」
「……ぽーとまふぃあの者。其方にとって重要なのは「正体」ではなく味方かどうかなのではないか?」
中原の片眉が僅かだが上がった。
「俺たちについては詳しく話せん。だが敵対する心算はないぞ。……化け物を倒しに来ただけだ」
暫く様子を見てやってくれないか。三日月がそう云うと中原は渋々といった様子で踵を返し、ちらりと三日月を見て判った、と返事をした。
「すぐに殺しはしねェ。だがヨコハマに危害を及ぼすような行動を少しでもとったら……」
「そんな莫迦な真似はしないさ。……嗚呼、あと……」
三日月は何処からともなく刀を出して中原の頭上を斬った。ぼとりと音を立てて歴史修正主義者が落ちる。どうやら苦無だったようだ。
「夜は短刀の時間だったかな。危ないから気を付けた方がいい」
「うっせーな! そいつの存在には気づいてたに決まってんだろ」
近づいてきたところを倒す心算だった、と不服そうに中原は呟く。
「そうか。強いんだな。……それでは失礼する。首領とやらによろしくな」
三日月を眺めながら、中原はぼそりと「じいさんみてェな奴だな」と独り言を漏らした。
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織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます!こちらでもよろしくお願いします! (2018年3月27日 12時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます! (2018年3月25日 18時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - ななこさん» ありがとうございます!更新がんばりますね……! (2018年3月22日 20時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
ななこ - 続編おめでとうございます!新着確認したら見つけたのですぐに飛んできました!更新頑張ってください! (2018年3月22日 20時) (レス) id: d4cba68423 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:織川 | 作成日時:2018年3月22日 20時