五十二 ページ15
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寮に着き、一行は部屋割りを変えることにした。短刀たちは一緒の部屋。その他は別室で審神者は相変わらず下の階にある部屋。
寝る前、今剣は「あるじさまにつたえたいことってなんですか?」と、乱に問う。
「えっとね、政府の人からこの紙を渡されたの。大事な書類なんだって」
茶封筒をリュックから取り出し、ヒラヒラと振った。へぇ、と相槌を打つ。
「そういえば布団足りないね。薬研如何する?」
布団は二人分しかない。
「俺は彼の探偵社員とやらが気になるから見張りでもしとく。残りの六人でなんとかしてくれ」
「いや、薬研だけに任せるわけにはいかないな。俺もやる」
薬研と厚が見張り役をすることになり、五人で二人分の布団に寝ることになった。
一方、隣の部屋では誰が布団に入るかでもめていた。
「五条の、此処は年長者に譲るべきだろう? それに此方は何日間も野宿をしていた。少しぐらい休ませるのが常識だ」
「いやいやいや、俺だって平安生まれだ。歳はあまり違いもない。それにここになって五条がどうのこうのって持ち出すのは違うだろう? ……街で野宿していようと此方だって布団で寝たい」
「岩融さん、布団敷くから一寸いいかな?」
「すまんすまん。それにしてもこの部屋は狭すぎるなぁ。男五人には辛かろうよ」
「誰が布団で寝るかはじゃんけんで決めればよかろう。さっさと寝ないか。下にいる主の睡眠の邪魔をすることになるぞ」
三日月は靴を履き、外に出る支度をしていた。それを見ていた石切丸が疑問に思う。
「三日月さん。何処かに行くのかい?」
「嗚呼、野暮用があってな。……主には秘密にしてくれ」
三日月の目はこれ以上追求するな、と訴えているように見え、石切丸はいってらっしゃいとだけ云った。
扉が開き、閉じる。岩融は其の様子を見ていたようで三日月の気配が遠のくと口を開いた。
「……鬼退治、だな」
「何もなければいいのだけれどねぇ。太刀って夜戰は苦手だし」
「……苦手、不利というだけであって絶対に戦えないというわけではない。……相手は無事では済まされないだろうな」
三日月が何を倒すために外に出たのかは判らなかったが、結末を予想して相手に同情した。
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織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます!こちらでもよろしくお願いします! (2018年3月27日 12時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます! (2018年3月25日 18時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - ななこさん» ありがとうございます!更新がんばりますね……! (2018年3月22日 20時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
ななこ - 続編おめでとうございます!新着確認したら見つけたのですぐに飛んできました!更新頑張ってください! (2018年3月22日 20時) (レス) id: d4cba68423 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:織川 | 作成日時:2018年3月22日 20時