59. 出水公平と「実態」 ページ22
出水side
やらかした自覚はある。
俺のせいで面倒なことになって、迷惑の掛かった人がいるのも分かってる。
先にオチを言っておこう。
俺は少し前にランク戦でお世話になった太刀川さんと、2回目の対戦を果たした。
その際、開発した合成弾を使用したところ、その御眼鏡に適い隊を編成しようと頼まれた。
ただ、俺には優秀すぎるチームメイト候補、折紙Aがいる。
あいつは作戦を立てさせれば右に出るものもいないし、多分知らない誰かの下につくのは好まない。
だから、隊長候補の奴がいるからと一度断ったのだ。
しかし、太刀川さんは最近ライバルだった人がランク戦に出れなくなってやる気が落ちているから、せめて楽しそうなランク戦に参加したいと食い下がった。
三輪の情報でこの人が攻撃手1位だということは知っていて、俺にはそんな強い人からの誘いを断り続ける勇気もない。
だから、Aと一緒に3人で隊を組もうと提案したのだ。
彼女が攻撃手4位の実力であることと、その人物像を話すと太刀川さんは意外にもあっさり了承した。
そこまではいい。
問題はその伝え方だ。
それに関しては俺が"俺とAは一緒に隊組む"という前提を持った上で会話していたことが最大の原因だ。
実際、俺はA以外と組む展開になったのは予想外だったし、俺が誘えば彼女は拒絶しないのは分かり切った事実だった。
"俺(たち)、(まだ言ってなかったけど二人そろって)隊組むことになった。"
"……(メンバーは)私の知ってる人？"
"いや、太刀川さんって人。"
"何で(隊を組み始めたの)……？"
"今度、チームランク戦があんだろ。"
"――いやだ、それは応援できない。"
"……ああ、そうだろうな(一緒に戦ってたら応援する暇ないもんな)。"
……と、これが俺から見たあの会話の実態である。
思い返せば、Aはとても嫌な声のトーンをしていて不機嫌は明らかだった。
彼女に髪飾りを投げつけられるまで、やらかしに気付かなかったのは完全に俺のミスだ。
別の原因としてあいつがよくやる勘違いさせるように話して反応を見てから、真実を伝える芸をやろうとしていた節がある。
でも、意趣返しだなんて言って突発的にやり始めた俺は慣れていないので、事実を伝えるタイミングを見失い思いっきりこじらせた。
先日には三輪から『俺を巻き込むな』と連絡が入った。
もう本当すまん。
そして今日、彼女は太刀川さんと交渉がしたいと言ってきた。
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origamisakura(プロフ) - ばぐさん» 連日ワートリの関連ランキングに載っていらっしゃる作者様に見て貰えているとは恐縮です！綺麗な文章だなんてとんでもない。お褒めいただいて嬉しいです。コメントありがとうございます！ (2020年12月9日 0時) (
レス) id: 6da1c3afc2 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - コメント失礼します。とても綺麗な文章と素敵な展開に感動しました。更新楽しみにしています。頑張ってください！ (2020年12月8日 19時) (レス) id: a81a0b3a5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：*佐倉照* | 作成日時：2020年12月3日 7時
