58. 私の提案 ページ21
「お初お目にかかります、太刀川慶さん。」
「おぉ、折紙Aだな。
出水と、あと迅からも少し聞いてるぞ。」
初めて対面する攻撃手1位と私。
光のない目と少しだけ生やされたアゴヒゲ、思ったよりも軽く掛けられた声は今まで会ったことのないタイプの人間であった。
仲介をしてくれた出水は、私たちの対面を心配そうに見ている。
「出水と隊を組む予定だそうで。」
「ああ、そうだな。組む予定だ。」
なんでもないように答える彼には、悪気なんて無いのだろう。
交渉内容については出水にも連絡していない、心当たりがあっても憶測では伝えないだろう。
「俺と交渉がしたいらしいな。」
「はい、交渉と言うよりは賭けになりますが。
出水の処遇について……。」
「あー、あのさ。」
「？」
不穏な空気を感じ取ったのか出水が割って入ってきた。
「………………物騒な感じになったりしないよな。」
妙な間を置いてからそう言う彼は、自分の隊の隊長のピンチに切羽つまっているようだった。
攻撃手1位がついているのに何をそんなに焦る必要がある？
「どうだろう……？
だめそうなら出水が止めてよ」
私の提案が物騒に当たるのか否かは微妙なライン、本人に聞いてもらって判断してもらう事にしよう。
「分かった。」
「では、単刀直入に――。」
この前の風刃争奪戦で見た迅悠一の圧巻の強さを思い出す。
私が全くかなわないであろう剣の使い手、を抑えて1位に君臨するこの組織のトップの存在。
普段なら頼まれたって戦いたくない。
負けの見えた勝負なんて面白味も達成感もないからだ。
けれど――……
「私と、決闘してください。」
――万全を期した今なら、受けて立とう。
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origamisakura(プロフ) - ばぐさん» 連日ワートリの関連ランキングに載っていらっしゃる作者様に見て貰えているとは恐縮です！綺麗な文章だなんてとんでもない。お褒めいただいて嬉しいです。コメントありがとうございます！ (2020年12月9日 0時) (
レス) id: 6da1c3afc2 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - コメント失礼します。とても綺麗な文章と素敵な展開に感動しました。更新楽しみにしています。頑張ってください！ (2020年12月8日 19時) (レス) id: a81a0b3a5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：*佐倉照* | 作成日時：2020年12月3日 7時
