53. エストロゲン ページ16
ちょっとした後押しのつもりだった。
「そういえば、チームランク戦のお知らせ見た？」
どうせ、こいつは私と組もうとして、言い出すタイミングを失っているんだ。
個人ランク戦で散々戦い、そのたびにリベンジを謳った相手を誘うのに多少の抵抗があるのは分からないでもない。
そういう相手は、タイミングさえ与えられれば簡単に口を開くものだ。
そんな考えが間違っていた。
「俺、隊組むことになった。」
想定よりも重々しく開かれた口は、期待したものとは違う言葉を紡いだ。
出水公平という男は、当然のように私に求めるものだと思っていた。
でも今回彼は、私なんて置いて勝手に私以外の誰かを求めたのだ。
「……私の知ってる人？」
「いや、太刀川さんって人。」
"タチカワさん"？ その人は確か攻撃手1位の人じゃなかったか。
攻撃手と組む気があるなら私を誘わなかった理由はなんだ？
「何で……？」
「……？
今度、チームランク戦があんだろ。」
チームランク戦、そこで勝ち上がるためには太刀川さんと組むのが当然という事か？
何で私ではないのだ、絶対にタチカワさんよりも出水と親しくて、出水の行動パターンも知っているから連携だってできる。
きっと作戦立案能力だって負けていない。
劣っているところなんて剣の腕しか……。
"追い込みに徹底して攻撃手ににとどめを刺してもらうとかね。"
そもそも出水に攻撃手との連携を進めたのは私のはずだ。
それなのになぜ私は、こんな惨めな思いをしなければいけない。
ポケットに入った空色の髪飾りを握りしめる私の気など知らないで、出水は続ける。
「チームランク戦に出て、上位目指すんだよ。
東さんと嵐山さんのとこは難しいかも知んねーけど、俺だって――。」
未来の展望を語る彼は、頬が緩んでいて楽しそう。
きっと、その内容は出水にとって楽しくてやりたいことなのだ。
でも、その場所に私はいないのなら……。
「――いやだ、それは応援できない。」
「……ああ、そうだろうな。」
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全然シリアスには入んないんでご安心を。
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origamisakura(プロフ) - ばぐさん» 連日ワートリの関連ランキングに載っていらっしゃる作者様に見て貰えているとは恐縮です！綺麗な文章だなんてとんでもない。お褒めいただいて嬉しいです。コメントありがとうございます！ (2020年12月9日 0時) (
レス) id: 6da1c3afc2 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - コメント失礼します。とても綺麗な文章と素敵な展開に感動しました。更新楽しみにしています。頑張ってください！ (2020年12月8日 19時) (レス) id: a81a0b3a5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：*佐倉照* | 作成日時：2020年12月3日 7時
