教えて、七海先生! ページ29
『とりあえず手分けして探す?』
「そうするか」
例の廃ビルに到着し、私達は手分けして探すこととした。
確かにここから呪霊は見えてるけど、今回の任務の呪霊ではないみたい。
私は上の階を下から見に行くことにした。
…まあ、パパッと終わらせよう。
そう思って階段を駆け上がっていた時。
明らかに先程とは違う呪霊の気配を感じた。
とはいえ、3級だからほんの少し、だけど。
私がその気配を感じ取ると、ちょうどそこに呪霊が現れた。
「オマエ、シニタアアイ?」
呪霊特有の声がビルを揺らす。
『んなわけないでしょうよ。…さてと』
私は腰にあった呪具を取り出した。
私は術式を持っていない。
けれどその代わり、呪力量が多い体になっている。
五条先生に言われた、「呪力を段階的に流す」ということを意識する。
例え弱いやつだとしても、油断は禁物だ。
私は、刀を大きく振り上げた。
けれど。
私の動きは一瞬で止まった。
…否、止められた。
なにこれ。気配が違う。気配が…。
自分の固まった思考をなんとか動かそうとする。
冷静にはなれないけど、冷静を装って。
たぶん…1級、だな。
…階級、段違いじゃん。
私の隣に、1級呪霊が、いる。
動け。
動いて、呪具を振り回して、一旦距離を取れ。
自分に命令する。
けれど、それは意味もなくかき消された。
怖いんだ。
唐突に、頭にそんな言葉が浮かんだ。思わず自分を嘲笑いたくなる。
今までこんな経験がなかったから、わからなかった。
先輩の呪術師の方に聞いた時も、イマイチピンと来なかった。
けど、今ならわかる。
これが本当の恐怖なんだ。
そんなことを考えていると、攻撃は相手のほうからかかってきた。
速い。パワーも尋常じゃない。
1級…そうだ。七海先生も1級だ。
先生なら余裕で倒せるのかもなんて、そんなことも考えた。
…落ち着け、集中。相手が自分より格上なら尚更。
深呼吸を1つして、私は呪具を構えた。
とりあえず、悠仁が来るまでは応戦しないと。
『かかってきな、1級呪霊!』
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作者名:紗由紀 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/sayukinopurofu/
作成日時:2022年4月29日 21時