俺と先輩【mychan】 (ページ9)

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めいちゃんside

今日一人で歌の練習をしつつ、A先輩が来るのを待っていたが彼女は来なかった。

まあ仕方がない、というのが俺の心境。
昨日ああやって少し話が合ったからといえど異性だしなんなら先輩だし。
急に後輩に来て欲しいアピールされても困ってしまっただろう。

そもそも俺の歌う歌に興味すらないのに場の雰囲気を壊さないため敢えて俺に話を合わしてくれていたのかもしれない。

俺はとぼとぼとギターを背負って家に帰ることにした。

チャリ通だしギターを担ぐなんてだるい…ってなるせに言ったけど実はそんなことない。
ホントのところはmyギターを持ってきて彼女に歌を聴かせるのはイタイ奴すぎるから軽音部に借りに行ったのだ。

ギターは明後日まで借りるって言ったし明日も歌を歌ってその後に返しに行けばいいか。

校舎の外に出てグラウンドに目を移すとセンラ先輩が手を振っていた。
俺が手を振り返すと"そこで待ってて"と言わんばかりのジェスチャーをしてこっちまで走ってきた。

「めいちゃんなんで今日の部活来なかったん！マネージャーが差し入れ用意してくれてたのに」

「え、まじっすか。行けばよかった～…」

「ふふ、そう言うと思って俺ちゃんとめいちゃんの分貰ってあるんだな～！」

スポーツウェアで肩にタオルをかけている部活モードのセンラ先輩は俺におにぎりを一つ渡した。
ラップに包まれ、時間が経ってしまったのか少し冷たい。

「えぇ、やったー！！丁度俺腹減ってたんすよ」

「お礼はマネージャーに直接伝えるんやで？…それにしてもめっちゃ俯いて歩いてたけどどうしたん」

「え？なんもないっすよ。……あーでも…」

俺はセンラ先輩とA先輩が一緒のクラスだったのを思い出し聞いてみる。
こんなこと聞いて何になるんだと思いつつ。

「…A先輩って今日学校来てますよね」

「あれ、めいちゃんってAちゃんと親交あったん？初知りやわ」

彼は目を丸くした。
俺は率直に聞きすぎたと気づき、前言撤回したくなる。

これでなんで親交があるのか聞かれたらやだなー…と心の中で思ったのだ。
"実は昨日知り合った"なんて言ったら"めいちゃんやり手やな～"と言われるに違いない。

「今日は普通に来てるで。ただ5限と6限は休んでてな～…」

「…？それって」

俺が再度聞き直そうとするがしかし「練習再開するぞー！」とこちらに向かって響く声。
センラ先輩は顧問に呼ばれて「ごめん、またな」と戻って行ってしまった。