124 ページ24
〜横尾side〜
藤「Aちゃん、ちょっとキッチン借りるね。飲み物飲んで少し落ち着こう」
太輔が気を遣ってくれたんだと思う。
俺に目配せをして部屋を出て行く。
2人きりになった部屋に流れる嫌な沈黙。
『ごめんね・・・泣くつもりなかったんだけど・・なんか、ちょっと怖くなったっていうか、よくわかんないや。あはは』
無理に笑顔をみせるA。
こんなことって前にもあったよな、と思う。
俺が聞いても、そばにいても、そうやって誤魔化されて。
太輔だったらもっとスマートに対応できるんだろうな・・・
沈黙の中、俺のスマホに太輔からのラインが届いた。
【ちょっと1回出るわ。
すぐ戻る。
後、わた心配してるようなことないから】
・・・飲み物持ってくるんじゃなかったのかよ
気づけば、ふふっと笑みがこぼれていた。
『渉君?』
横「あ、ごめん。なんか太輔からラインきてて」
『え?この距離でライン?』
横「あー、いやなんか1回出るって。その報告がきた。でもすぐ戻ってくるんだって。飲み物取ってくるっていったくせになにしてんだろって思ったら笑えてきちゃった」
『ふふっ、確かに』
横「・・・ねぇ、A。ごめんね?」
『え・・・?渉君なにかしたっけ?』
横「うーん、なんかちょっと自分勝手だったなって」
『よく、わからないんだけど・・』
横「うん、いいよ」
太輔に少し嫉妬してしまった自分が情けなくなった。
Aはこんなに苦しんでるのに、俺何やってんだろって。
横「太輔の代わりになんか飲み物持ってくるね」
『あっ、私も行く。もう、大丈夫だから』
横「本当に?」
『ほら、もう泣いてないよ』
今度は作った笑顔じゃない。
まだ少しぎこちないけど今度は本物の笑顔。
59人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めいめみ | 作成日時:2016年10月12日 23時