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太ちゃんと2人で帰るのは久しぶりな気がする。
なんとなくみんな太ちゃんと私が2人っきりにならないようにしてたんだと思う。
下手に犯人を刺激させないように。
太ちゃんと2人になると、渉君の話題になることが多い。
太ちゃんと渉君は本当に仲良しなんだなーって思いながら今日も渉君の話題で盛り上がる。
盛り上がりすぎて、前をちゃんと見ていなかった私がつまずいて転びそうになった。
あっ・・・!と思って目をぎゅっと瞑ったのに痛くない。転んだ感覚もない。
目を開けると太ちゃんの顔が目の前にあって、太ちゃんの腕が私の腰をつかまえて支えられた。
藤「大丈夫?」
『・・っ!う、うん!大丈夫っ』
優しく体を離して、優しく心配してくれる太ちゃんは本当に王子様みたいで。
つい言葉に出てしまった。
『太ちゃん、やっぱりイケメンだね・・・』
藤「ははっ、なに?いきなり」
『こうもスマートに爽やかにできる人ってなかなかいないよ?すごいっ』
藤「お、やったね。俺褒められてる」
『ちょっとドキッとしちゃったもん。ふふっ』
藤「でもそのときめきも一瞬で終わったでしょ?」
『あー、確かに』
藤「残念だなぁー」
『なんでだろ。すっごいイケメンだーって思ったんだけど・・・なんか行動ひとつひとつがスマートだなって感心しちゃって。もうドキドキしないや』
藤「でしょうね、ふふっ」
『ん?なに?なんで?』
藤「いいのいいの。ちゃんと気をつけて歩いてね?お姫様にケガさせたら俺怒られちゃうから」
『だから誰に??』
藤「それはまだ秘密かな。Aちゃんが自分で気づいてくれるのが理想だから」
『えー、難しい・・・』
藤「たまにAちゃんのこと妹みたいな感じに見えるわ、俺」
考えている私の頭を軽くぽんぽんと撫でて笑いながら歩き出した太ちゃんを早足で追いかけた。
なんでもないようなこのやり取り、また写真に撮られてたなんて気がつかずに・・・。
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作者名:めいめみ | 作成日時:2016年10月12日 23時