転校生は女の子でした

１６ ページ16

１限目の現代文の準備をしていると、ふと疑問が浮かんだ。
２限目の体育、そういえば更衣室ってどこだろ・・・聞くの忘れてた・・・。
隣でスマホをいじっていたニカちゃんに聞いてみた。

二「更衣室・・・？あ、体育館の中にある！２つあるんだけど、共学になるから１つを女子更衣室にするって聞いたことあるわ。体育館の場所わかる？」

『そっか、体育館は昨日渉君に教えてもらったから大丈夫！ありがとう』

二「まぁー俺らっていうかほぼみんな教室で着替えてるんだけどね。ほら、男しかいなかったじゃん？更衣室なんて使うやつ逆にいんのかなー？」

『そうなんだ！確かに体育館までわざわざ移動するの面倒だよね』

二「そーそー。体育館でするならいいけど、今日みたいに外でするのが多いからさ」

１限の終わりのチャイムが鳴って先生が教室を後にした。
私もジャージを持って急いで教室を出る。
移動と着替える時間を考えるとダラダラしている時間はなさそう。

体育館に着くと入ってすぐのところに更衣室と書かれたドアがあるのが分かった。
この広い体育館に１人でいるのはなんだか落ち着かない。
ささっと着替えてしまおうと思って、女子更衣室と書かれた方のドアを開けた。
窓がないからうす暗い。
ドアを閉めて電気をつけてみたものの、蛍光灯はついたり消えたり。
ホラー映画に出てきそうな電気のつき方がちょっと気味悪い。
怖さを紛らわすために鼻歌を歌いながら、ふと壁の方を見ると１枚の張り紙があった。
赤い字で【ドアは閉めないこと！】
そしてその下に黒い文字で【※故障中。中から開けられません】

『・・・・は？』

まさかと思ってドアを開けてみるけど、張り紙に書かれた通り開かない。

『す、すみませーーーーんっ！！誰かいませんかぁーー！！』

何度も大きな声で叫びながらドアを叩くけど反応なし。
更衣室使ってる人いないって言ってたもんな・・・どうしよう・・・

『あ、スマホ！・・・・は教室・・・はぁ』

どうすることも出来なくなってその場に崩れ落ちた。
２限目のチャイムだけが静かな空間に鳴り響き、ますます不気味に感じる。
蛍光灯の感じや閉鎖されて物音ひとつしないこの空間。校舎から離れていて気付かれにくい場所。
ホラーが大の苦手な私にとっては地獄としか言いようがなかった。

『あぁ、もう最悪。泣きそ・・・どうしよう』

１７→←１５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す