モテ男は私の執事です。 #F

＠執事＿25 ページ25

*


車に乗って行く程遠い訳では無いので
とぼとぼと歩いても２０分ぐらいで着く。

早く来過ぎたのか人が居ない。
せいぜい、先生の車が数台あるぐらいだろうか。

薄暗い校舎の中に入り、図書館へ向かう。

昨日、玉森君が



「この鍵で図書館の鍵も開くからー。」



って言ってた気がする。

その言葉を信じて、鍵を差し込み左に回す。


おぉー、開いたーっ。


ガラガラと戸を開けて中に入る。

本が高くまで並べられている図書館は
今まで歩いてきた廊下よりも暗い。

宮田君が横に動かしていた本棚の前に立つ。


よし、開けるか。


本棚に手をかけて横に動かす。
女の私でも少し力をいれたらするすると横に動いた。

鍵を開けようと、差し込み、左に回す。



…ん、あれ？ 開いてる？

誰か居るってこと？


恐る恐る中に入ると、コーヒーの良い匂い。

くんくんと匂いながら行くと、



「あれ、A？」

「え、宏にい？」

「玉かと思ったらAか。 鍵、貰ったの？」

「あ、うん。」



優雅にコーヒーなんか飲んで
ソファに座り、本を読んでる宏にい。



「宏にい、コーヒーなんか飲むっけ？」

「俺だって飲むし、」




笑いながら手招きしてくる。



「ここ、座れば？」



そう言って、ぽんぽんと自分の隣をさしてくる。
言われた通り、ぼふっと横に座った。



「今日はすんげー早いじゃん。 どうしたの？」

「目、覚めたから。」

「…Aらしくて宜しい。」



うんうんと頷く宏にい。

手元を見ると、知らない間に本は閉じられていた。



「宏にいこそ何でここに？」

「俺は毎朝ここにいるよ？
残業の時は泊まったりすることもあるかな。」

「そうなんだ、」



意外な事実。
この部屋ならできそうだけど。



「暇なときはここに来たら？
どうせ、数学以外は全部できるんだろ？」

「…何で、数学苦手なの知ってるの！？」

「当たり前だろ。
転入する時にテストの結果とかも送られてくるし。

…Aの母さんにも言われてるし。」



…ん？ 母さん？

おかしいでしょ。


*

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