君に恋した理由｡【*名前変換オリジナル】

(29)貴方side.　 ページ29

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A「…せんせーい､そろそろ帰ります｡」


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塾で結構暇つぶししてたな｡

軽く三時間はいたし､私にしては頑張ったかな｡


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そして私は､

出席印を押してもらって塾をあとにした｡


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ｶﾞﾗｯ､と開けた扉の先は―…


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A「…うわ…｡」


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驚く程の大雨｡

あんなに青空だったのに､いつの間に…


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私が､珍しく勉強してたから?(笑)


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A「…はぁ､走って帰るしか…ないね｡」


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そして私はﾊﾟｼｬｯ､と大きな一歩を踏み出して走りだした｡


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雨の粒は一粒一粒が大きくて―…痛い｡


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どうして､

こんなときに雨降るの―…｡


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A「最悪…｡」


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私昔から馬鹿だけど…

流石に今日は雨ふりそうだな､とか解るんだよ｡


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ただ"それしか無い"才能まで…

神様は奪っていくの？


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才能なんて言えないかもしれないけど…


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それでも､一種の才能だと思うんだ｡


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A「…なんて､いい訳か｡」


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私は､ふふっと笑って

走る速度を早くした｡


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いつの間にか､水玉に踏み入れるときの音が

ﾊﾟｼｬｯ､じゃなくて､ﾊﾞｼｬｯ､に変わっていることが解った｡


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このまま､

"あいつら"のことも洗い流せないのかな―…


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A「…何漫画みたいなこと言ってるの…｡」


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無理だから｡


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そんなんで洗い流せたら､

世の中､皆…雨にあたるだろう｡


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そしたら…


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A「…皆…幸せなのになぁ…｡」


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私だって｡


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幸せなはずなのに｡


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