俺以外には隠して下さい！3 (ページ13)

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ドライブは続く。他愛もない話をしながらふと聞きたかったことを思い出した。

『今までの恋人に貰って嬉しかったものってある？』

カ｢え、なんすか急に笑｣

『普通に気になって』

カ｢Aちゃんは？｣

『んー、鍵かな？』

1年記念日のあの日カンタが私にくれた南京錠の鍵。プロポーズの約束を貰ったそれが一番嬉しいものだ。私の言葉に髪の毛を撫で付けるカンタはへー、と適当な言葉を吐き出した。

『And you？』

カ｢えー、あの...″彼氏さん″っていう名前...｣

口元を抑えてまた窓の外に目を向けたカンタ。愛おしいにも程がある。

『...ちゅーする？』

カ｢しません｣

『おかしいだろ！！する流れだろ！甘い空気流れてただろ！！』

カ｢安全運転でどうぞ｣

『元カノよりいいもの与えて虜にしてやろうと思ったのに彼氏が私の事好きすぎて私に勝てんわ。』

カ｢意味分からん笑｣

照れ臭そうに笑いながら携帯を取り出したカンタは何故か私の写真を撮り始めた。

『ほんと私の写真撮るの好きだな』

カ｢思い出｣

『別れた時に見返して泣くなよ』

カ｢泣きません、別れないんで。｣

『お！いいね、志高くて！』

カ｢自己肯定感高いな笑｣

私の自己肯定感を上げてくれてるのは紛れもなくカンタなんだよ。

『好き貯金いくら貯まったと思う？』

カ｢えーでも千円入れてただけだから行ってて5万とかじゃない？｣

『14万8千円』

カ｢貯めすぎ笑｣

『うちらお互いのこと好きすぎ』

カ｢貯金の為に無駄遣い減ってたからいいんすよ｣

『貯金のお金下ろしに行こうってコンビニ行くたびに唐揚げ買って食ってたけどね』

カ｢必要経費｣

そう言ったカンタは私の口元にキャラメルラテのストローを近付ける。1口啜って文句を1つ吐き出す。

『私がキャラメルラテ飲んでるのバレたやん』

カ｢なんでダメなんすか笑｣

『私ブラック飲んでそう顔やん』

カ｢ブラック飲んでそう笑｣

『ブラック飲んでます顔して生きてきてんのにブラック飲めねぇの恥ずかしいだろがい！』

カ｢紅茶はストレートで飲むのに？笑｣

『コーヒーは無理！』

カ｢お子ちゃまだ！｣

『うっせぇ！！』

世界一無駄な会話をしながら向かうのはスーパー。美味い肉買ってキャンプに行く手筈(てはず)だ。まだ始まったばかりのこのデート。彼とならなんでも楽しいんだろうなと考えながらハンドルを握った。