12. 掴めていない距離感 (Side gr) ページ12
(Side gr)
「グルちゃん。グルちゃんすっごいわ」
「はあ」
目の前の鬱野郎は目をきらきらさせてパソコンで売上から利益を出している。
一旦トン氏に封筒を届けた後、ある程度のルールだけ教えられた俺はまあ適当に接客を行った。適当のつもりだったのだが、
「この店グルちゃんだけで回せるで?」
「はあ」
「なんでそんな顔するんや!俺だってあれくらいモテたいわ!」
「あんな興味のないヤツらにモテても楽しくないゾ、疲れたゾ」
「はあ、逆に興味ある人なんてグルちゃんにおるん?」
なんだこいつ失礼な、
「いるゾ?」
「は?」
「いる。」
「…マジで言ってます?」
「大真面目だな」
言われた鬱は目を丸くしてぽかーんとしている。
「え、グルちゃんが惚れるなんてどんな人!?」
「む、まあ一言で言えば優しいヤツだな。甘いとも言う。」
「へえ…で、どこまでいっとん?」
「……………?な、なにもしていない、ゾ…?」
「そういやあんた恋愛の仕方知らない人でしたね」
交渉上の関係やリップサービスは慣れているが、本物の恋愛とやらを俺は経験したことがないことに今更気づく。
「トン氏の事をとやかく言えない立場になるとは不覚だな」
そう言った瞬間、鬱の顔が歪む。
「…トンち、まだ生きとるん?」
「ああ、俺が確認した限りはな。まだ恨んでいるのか?」
「あんなん、何回輪廻転生しても恨むで。」
「実際そうしてるヤツが言うと説得力があるな。」
「…まあ、この話はここでやめとこ。それより、女の落とし方教えたろか?」
「……頼む。」
初めて鬱に教えを乞うたかもしれんと思いつつ、なかなかどうして参考になった。
*****
「実行してみたんだが」
「早速やな」
「あまり変化が見受けられなかったんだが」
「嘘やろ!?…あ、もしかしてその人他に好きな人おるとか?じゃないとグルちゃんに惚れんなんてあり得へんで。」
「む、そういえばあいつ」
よく考えれば、Aはトン氏の方を可愛がっていないか。
ご主人!撫でてください!なんてトン氏のように近づける訳もなくなんだかんだ避けてしまっていたが…
「あ、シャオちゃんが言ってたお客さんや」
思考を遮るように鬱が喋る。パソコンを覗きこむと、店の入り口が映っており、
「…A」
「あれ、グルちゃんの知り合い?」
「今の飼い主で…落としたい相手だ」
「まじで!?じゃあグルちゃんチャンスやで!」
「どういうことだ?」
「秘密兵器…酒の力を使うんや」
ゲス顔で鬱はそう言った。
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身長100m - いや。普通に大好きです。結婚しましょう (2021年1月3日 14時) (レス) id: baba500277 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁこ(プロフ) - 頑張ってください…いつまででも待ってます (2020年3月6日 19時) (レス) id: f472df8b77 (このIDを非表示/違反報告)
兎危@ゆっ家族 - もう、うるっときちゃったじゃないですか。何ですかこの作品。最高すぎます。こんなの、評価満点以外選べないですよ。設定も、物語の進み方も、全部好きです。呪いのことやメンバーとの関係、過去についても惹かれるものばかりです。これからも応援しています (2018年5月12日 11時) (レス) id: 556657c7c7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃよーるど(プロフ) - ミーさん» 再びコメントありがとうございます〜! 完全に趣味で月光を選んだのでイメージが伝わって何よりです笑 やっと仲直りです、が、だいぶ展開が遅いと思いますので期待せずお待ちください、、 (2018年4月14日 22時) (レス) id: 50cd7cd971 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 更新ありがとうございます。月光を弾くグルさん…!想像しなくても優美な感じがしますね(笑)仲直りをした主とグルさんがこれからどうなってくのか楽しみです(^-^) (2018年4月8日 17時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぃよーるど | 作成日時:2018年3月10日 19時