11. 身から出まくる錆(Side gr) ページ11
(Side gr)
1日前に時は戻りーーーーー
「ふむ、恐らくここだろう。」
古くからの友人が住んでいるであろうボロアパートの一室の前に立ち、チャイムを鳴らす。先程まで音がしていたがチャイムを鳴らしてからは無音だ。
「相変わらずガバガバだな」
鼻で笑うとドアの前、覗き穴からよく見えるような位置につき声をあげる。
「おい鬱、あと10秒以内に出てこなかっ」
「やあいらっしゃいグルちゃん！！！！！」
ものすごい勢いでドアが開き中からよれたスーツの青年が顔を出した。相変わらず鬱っぽい雰囲気を纏ったヤツだ。
深海の底のような瞳を隠すように伸びた長い髪。ふむ、やはり以前会ったときとほぼ見た目は変わっていないようだ。
「それでグルちゃん何の用？ここで立ち話も何だし中入って入って」
「お前の部屋汚そうで嫌なんだが」
「借金取りが怖いんで早く入ってくださいお願いしますぅ！」
「はあ」
まーた借金取りに追われているのか。いい加減反省しないのかコイツ。
呆れながら渋々中へ入ると水の入ったコップが傷の多い机に置かれた。
「…それで、何十年か振りにしかも人間の姿で訪ねてくるなんて何の用なん？」
「察しがいいな。まあ端的に言うとだな」
先程の情けない姿から一変し、ギラギラとした目をするこいつはやはり侮れない
が、今回は少し痛い目に遭ってもらうゾ
「金返せ」
「……えっ？」
「金返せ」
また情けない顔に戻った鬱が震える声で言う。
「あの、僕がグルちゃんに借りたお金って、その、もう利子ついて天文学的数字になってるヤツのこと…？」
「そうだな、緊急を要するから早く返して欲しいんだが」
「無理ですぅぅう！今会社倒産寸前で全財産残り5万で立て直さなきゃいけないんですぅぅう！人生詰んでるんですぅ！」
「ほう」
「…あっ」
「5万あるのか。じゃあとりあえずそれを返して貰おうか」
「グルちゃん、あんた鬼やで…」
口ではそう言いつつも何か思うところがあったのか封筒に金を詰める鬱。まーた人生諦めたのかと思い少し今回の人生について話題を振ってみる
「倒産寸前と言ったが、今回はお前何をしてるんだ」
「ホストクラブやな…そこそこ儲かってたんやけど、客の女食ったら色々トラブルになったんや」
「自業自得だな」
「ちゅめたい…はい、どうぞグルちゃん。」
「ありがたく頂こう。俺の金だが。」
「…そうだグルちゃん」
「なんだ？」
「俺のとこで働かない！？」
「………は？」
12. 掴めていない距離感 (Side gr)→←10. 金の縁取り
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 519人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
身長100m - いや。普通に大好きです。結婚しましょう (2021年1月3日 14時) (
レス) id: baba500277 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁこ(プロフ) - 頑張ってください…いつまででも待ってます (2020年3月6日 19時) (レス) id: f472df8b77 (このIDを非表示/違反報告)
兎危@ゆっ家族 - もう、うるっときちゃったじゃないですか。何ですかこの作品。最高すぎます。こんなの、評価満点以外選べないですよ。設定も、物語の進み方も、全部好きです。呪いのことやメンバーとの関係、過去についても惹かれるものばかりです。これからも応援しています (2018年5月12日 11時) (レス) id: 556657c7c7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃよーるど(プロフ) - ミーさん» 再びコメントありがとうございます〜！ 完全に趣味で月光を選んだのでイメージが伝わって何よりです笑 やっと仲直りです、が、だいぶ展開が遅いと思いますので期待せずお待ちください、、 (2018年4月14日 22時) (レス) id: 50cd7cd971 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 更新ありがとうございます。月光を弾くグルさん…!想像しなくても優美な感じがしますね(笑)仲直りをした主とグルさんがこれからどうなってくのか楽しみです(^-^) (2018年4月8日 17時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふぃよーるど | 作成日時：2018年3月10日 19時
